㈱Hacobuは9月10日、新たな共同輸配送支援サービス「MOVO X-Data(ムーボ・クロスデータ)」の提供を開始した。
同サービスは、運行データを基に非効率な運行や車両を抽出し、改善案を提示することで物流の効率化を図るほか、拠点間、企業間を跨いだデータ連携を可能とし、効率的かつスピーディな共同輸配送の検討を実現するもの。
これにより、物流コストの大幅な削減やCO2排出量の低減が見込まれる。第1号プロジェクトとして、三菱食品とHacobuは実証実験を推進している。同実験では、三菱食品が全国で運用する3,000台のトラックを対象に、拠点間での共同輸配送を推進し、車両削減およびCO2排出量削減を実現する。将来的には、企業間における共同輸配送実現を目指すとしている。
2024年4月からのトラックドライバーの時間外労働上限規制、いわゆる「物流の2024年問題」により、輸送力不足が懸念されているほか、非効率的な配送も依然として課題となっている。さらに、2024年5月に公布された改正物流関連二法により、一定規模以上の荷主企業、物流事業者には積載率向上が求められている。
そうした中、従来個別に行われていた複数企業の配送を、トラックやコンテナ等を共同利用してまとめて行う手法として「共同輸配送」が有効な解決策として注目を集めているが、従来の共同輸配送の実現には、配車担当者へのヒアリング等のアナログな方法や、一度の固定的なデータ分析に基づいて実施されるケースが多く、季節変動等に柔軟に対応できない等の様々な課題も存在していたと指摘している。
MOVO X-Dataは、蓄積された実績データを活用し、拠点間・企業間でのスピーディかつ効率的な検証を可能にするほか、課題の大きい運行を自動的に抽出し、具体的な改善案を提示する。これにより、変化する物流ニーズに柔軟に対応し、効率的な共同輸配送を実現する。
●MOVO X-Dataの特徴
MOVO X-Dataは、配送効率化を実現する共同輸配送支援サービス。拠点や企業の垣根を越えて、データを軸とした配送効率化を実現する。
図:MOVO X-Dataの特徴
①スピーディな導入・運用:
Hacobuの動態管理サービス「MOVO Fleet」に蓄積された実績データを活用し、拠点間・企業間での効率的な検証を可能にする。現状MOVO Fleetを導入している企業は、実績データをそのまま活用でき、スピーディな導入と運用が可能。
②課題から解決策までを具体化:
データを基に、長距離の空車運行や長時間労働といった課題の大きい運行を自動的に抽出し、具体的な改善案を提示する。例えば、短い稼働の運行同士の組み合わせや、帰り便の活用等、様々なパターンでの改善を提案する。
③使いやすい:
利用者はパターンを選択し、指示に従って条件を入力するだけで簡単に改善案を確認することができる。
●三菱食品との実証実験
Hacobuは三菱食品とパートナーシップを結び、運行データの効果的な活用に向けた取り組みを進めてきた。三菱食品は、全国で物流パートナーのトラックに段階的にMOVO Fleetの導入を開始し、2024年度中には3,000台に展開が完了する見込みとしている。
2024年2月からは、MOVO X-Dataのプロトタイプを使用した実証実験を通じて、ユーザー視点でのニーズ抽出を進めていた。MOVO X-Dataを活用することで、時間、場所、頻度といった要素を基に、膨大な運行実績データから組み合わせ候補を抽出し、拠点間で配送コースを効率的に再構成することが可能になった。
今後、具体的な複数拠点間内での共同輸配送により、車両削減およびCO2排出量削減を目指すほか、将来的には、企業間における共同輸配送実現を目指すとしている。