AutoStore System㈱は5月9日、自動倉庫システム「AutoStore(オートストア)」が、大成建設㈱とトーヨーカネツ㈱が新たに共同商品化した「T-ロボットストレージ(※1)生産システム」へ採用されたと発表した。

AutoStoreは、立体的に組み上げた格子状のグリッド内にコンテナを格納し、ピッキング機能を備えたロボットがグリッド上部の走行路を移動してコンテナの入出庫を行う、空間利用効率の高い自動倉庫システム。多品種少量荷物の保管・出荷特性に適しており、国内外を問わず新築・改修の流通施設に多数導入されている。T-ロボットストレージ生産システムは、生産施設の生産ラインにAutoStoreを適用することで、生産エリア上部空間を有効利用し、空間利用効率向上を実現するほか、ロボットを用いて原料や仕掛品の保管・搬送を自動化・省人化し生産効率の向上を図ることが可能。

現在、多くの生産施設では各生産工程で使用する部品を必要な時に必要な量だけ供給することで無駄な在庫を抱えない、ジャストインタイム方式が採用されている。そのような生産施設では、各工程に必要な原材料の供給や各工程で作られた仕掛品の一時保管と次工程への搬送がタイムリーに行われる必要があるが、工程が多岐にわたる生産ラインでは、各工程で生じる時間差等から仕掛品が滞留する場合、生産ライン近くのフロア上や別の倉庫エリアで一時的に保管する必要が生じていた。そのため、従来方法では運搬・収納に伴う新たな作業負荷の発生や在庫管理の煩雑さ等により、空間の有効利用や生産効率改善の妨げとなっていた。T-ロボットストレージ生産システムは、そうした課題解決へアプローチする新たなシステム。

●T-ロボットストレージ生産システム概要/特徴(※2)

【概要】
同システムは、メイン倉庫内の各コンテナに収納・保管された原料や仕掛品を、生産エリア上部に敷設した走行路をロボットが移動しながら搬送し、タイムリーに保管・供給するシステム。システムの構成とコンテナの搬送手段は次の通り。(以下画像参照)

a)原料や仕掛品等を一括保管する「①メイン倉庫」を生産エリア近傍に配置する。
b)前後左右に連結されたロボット専用の「②走行路」を生産エリア上部に設置する。
c)生産工程ごとの「③サブ倉庫」をロボット走行路上の必要な箇所に設置する。
d)コンテナを昇降させる「④昇降部」を生産エリア各所に配置する。
e)「⑤ロボット」が走行路を前後左右に移動し、コンテナを生産エリア各所に搬送する。

T-ロボットストレージ生産システム

●解説動画
https://youtu.be/ZT3LCoumIEM (動画制作・著作・提供:大成建設㈱)

【特徴】
①生産エリア上部空間の有効利用により空間利用効率が向上
ロボット走行路とサブ倉庫を生産エリア上部に配置することで、生産エリア内のフロアに部品の保管・搬送空間を設ける必要がなく、床面積の削減やメイン倉庫の保管規模の縮小が可能となり、空間利用効率が向上するほか、入出庫作業の負荷低減も図れる。

②自動化・省人化により生産効率の向上を実現
ロボットが自動で原料や仕掛品の入出庫作業と搬送を行うことで省人化を実現できるほか、各工程に合わせてサブ倉庫が生産エリア直上に配置されるレイアウトとなっているため、原料や仕掛品の各工程への供給がタイムリーに行われ、さらなる生産効率の向上が期待できる。

③生産工程に合わせた柔軟なレイアウトが可能
全ての工程に関わる原料や仕掛品の格納が、メイン倉庫、サブ倉庫のどちらでも可能なため、工程ごとの部品生産量に応じて最適な格納場所を設定できる。昇降場所や走行路の変更・延長、サブ倉庫の増設等を容易に行えることから、工程のレイアウト変更や将来的な工場の拡張等にも柔軟に対応できる。

※1:ロボットストレージ:樹脂製コンテナを保管棚内に床から棚上部近くまで高密度に積み上げ、保管棚上の走行路を、ピッキング機能を搭載したロボットが移動しながら、指定されたコンテナを保管棚と入出庫口間で取り出したり格納したりする保管システムのこと。同システムの適用により、保管スペースを効果的に圧縮できるだけでなく、ロボットがコンテナに格納された商品を入出庫口まで自動で運ぶため、作業者は入庫や出庫のために倉庫内を歩行する必要がなくなり、入出庫作業能力が大幅に向上する。

※2:大成建設のニュースリリースを引用