㈱Hacobuは5月1日、トラックドライバーの働き方を変えるスマホアプリ「MOVO Driver(ムーボ・ドライバー)」に、物流の「2024年問題」に対応した「改善基準告示対応サポート」機能を、運送業界特化社労士監修のもと実装したと発表した。

2024年4月1日に、改正された「改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)(※1)」が適用され、ドライバーの拘束時間の上限等が変更された。本機能を使用することで、運行管理者およびドライバーは拘束時間や運転時間の経過と残り時間をアプリ上で確認でき、改善基準告示の複雑な要件を遵守するためのサポートが可能になる。

2024年4月1日より、ドライバーに対して、時間外労働の960時間上限規制と「改善基準告示」が適用され、拘束時間や運転時間の制約が変更になった。ドライバーは、拘束時間・運転時間・休息期間など様々な制約を踏まえて、業務を行うことが求められる。

さらに4月26日には、「2024年問題」対策に向けて改正物流総合効率化法(物効法)と改正貨物自動車運送事業法が、参議院本会議で可決および成立した。本改正により、業界全体でドライバーの負荷軽減と待遇改善に取り組むことが急務となっている。

※1:厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/notice

参考:改善基準告示とは?荷主として1日13時間ルールを理解し、対策しよう。
https://hacobu.jp/blog/archives/2574

「改善基準告示」改正により、運行管理者およびドライバーは、改善基準告示の内容を理解し、その基準に従って業務を行うことが求められている。しかし、実際には運行管理者にのみ、労働時間管理を任せるケースが多く結果として違反が発生することが頻繁にある。

また、ドライバー自身が直接管理している場合でも、紙面上や頭の中で経過時間を計算しながらの業務遂行は大きな負担となる。そのような背景から、リアルタイムで簡単に、拘束時間、運転時間、休息期間の経過時間、制約時間までの残り時間を可視化することで、運行管理者やドライバーの負担を軽減したいという思いから、運送業界に特化している社労士監修のもと、MOVO Driverへの本機能実装に至った。

●本機能の特徴
◎拘束時間、運転時間、連続運転時間の経過時間および制約時間までの残り時間をリアルタイムで更新しながら可視化
作業記録中に経過時間と残り時間がリアルタイムで可視化され、ゲージ表示により業務の継続可能時間や休息の適切なタイミングが分かりやすくなる。これにより、運行計画の立案が容易になり、効率的な業務遂行をサポートする。

◎各種制約に応じてアラートを表示
連続運転時間や、1日の拘束時間の上限、拘束時間のダブルカウント発生時にアラートを表示する。これにより、改善基準告示の要件を遵守するためのサポートが可能になる。

※現時点では未対応のアラートもあるが、それらは順次対応を進めている。

※なお、本機能はあくまで「改善基準告示対応サポート」としての役割を果たすもので、ユーザーの状況に応じた詳細の法令適合性を保証していないため、必要に応じて社労士や弁護士等の専門家に要相談。

●今後の展望
MOVO Driverは、2023年6月のリリース以来、日報や日常点検表、構内見取り図などドライバーの日常業務に欠かせない機能の実装により、ドライバーの業務効率化を支援してきたほか、ドライバーの位置情報を共有する「ドコいる?」機能や物流情報マップ等、ドライバー間のコミュニケーションを活性化する機能実装も進んでいる。

●社会保険労務士法人みつばち 代表・特定社会保険労務士 高橋大生氏のコメント
運送業は、一般の工場等とは違い、働いている方々が管理者の目の前にいないことが多く、時間管理がしにくい業種となります。一方で、運転時間や拘束時間、休息期間等の時間管理が厳格に求められています。そのため、ドライバーの方々にも運転時間等の意識付けをこのアプリでしてもらうと共に、会社、ドライバーの双方が協力して安心して働くことのできる会社を育ててもらえるのではないかと期待できます。長距離運行に限らず、地場運行でもいつの間にか連続運転時間が長くなっているケースが多くなっています。運行記録計の設置義務のない車両には特に利用していただきたく思います。