オークラ輸送㈱と化粧品・日用品、一般用医薬品の最大手卸である㈱PALTACは3月25日、段ボールケースの天面(上ぶた)切断装置の実用化に向け技術提携(ノウハウライセンス契約)を締結したと発表した。
PALTACが開発した段ボールケースの自動開梱装置をオークラ輸送機が製品化し、製造・物流現場の省人化を推進するソリューションとして提供していく。
●技術提携の背景
製造や物流の現場では、段ボールケースで入荷した材料や製品を取り出す開梱作業は自動化が遅れているエリアと指摘されている。例えば、物流倉庫のピッキング現場では、人がカッターナイフで天面のテープを切断しながら開梱し、ケース内の物品を取り出す。作業は単調な上、誤って手を切ったり中の物品を傷付けたりすることもあるほか、量が多い場合は数多くの人手が必要となる。
PALTACはその重労働ともいえる開梱作業を機械化するため、20年以上前から独自に研究開発を進め、自動開梱装置を自社の物流センターに導入してきた。PALTACは導入後も継続して研究開発を進め、より多種多様なサイズや形状のケースの開梱に対応するロボットハンドを用いた新しい自動開梱装置の開発に成功し、物流センターで実用化している。その成果を踏まえ自動化を検討している他企業へも幅広く提供し、自社のみならず業界全体へ貢献したいと考えていたとしている。
一方、オークラ輸送機は段ボールの自動開梱装置を導入したいという要望が数多く寄せられており、多種類の段ボールケースにきめ細かに対応できるPALTACの技術に注目していた。そこで今回、両社のニーズが一致し、PALTACが持つ技術・ノウハウをオークラ輸送機が製品化し、市場投入することに合意したもの。
●自動開梱装置の概要
自動開梱装置はケース天面を切り落とせるカッター刃をロボットハンドに装着し、ロボットアームが人に代わって切断していくもの。PALTACが独自開発したカット機構により、ケース天面を確実に切り落とす。ケース内の物品を傷付けることなく、高速で多種多様なサイズや形状のケース天面のカットができることが大きな特長となる。
同装置はカッター刃付きロボットハンド、ロボットアーム、供給コンベヤでシステム構成され、切断した天面の自動除去機構や替え刃のオートチェンジ機構も備える。処理能力400ケース/hとしている。
●今後の展開
工場や倉庫の荷役作業を自動化する取り組みは、産業界の大きな流れになっている。そうした中で、手作業主体で行う段ボールケース開梱作業の自動化を実現する自動開梱装置は新たなソリューションとしての需要が見込めるほか、人手不足対策、従業員の危険作業からの回避、物流の2024年問題の解決策等、社会的な課題解決の役に立てると考えている。
PALTACCのノウハウを活用し、製造・販売はオークラ輸送機が担う。オークラ輸送機では汎用モデルとして製品化するため、PALTACの物流センターで稼働する装置に改良を加え、10月1日を目途に販売を開始する予定。