㈱タクテックは2月28日、㈱関通の関西主管センターでの同社マテハン機器の導入事例を紹介した。
現在、トータルピッキング後の仕分け工程には様々な種類のソータの導入が進んでいる中、同社では人間系の仕組みであるGAS(Gate Assort System)を使って最大で1人2,000ピース以上/hの仕分けを実現。これはタクテックの導入先の中でも高い生産性を実現している数字と報告している。
●こだわり品質方針とGAS導入
「日本一お客様満足度の高い物流会社」をビジョンに掲げる関通の現場運用に対する考えは、1オーダーごとにピッキングを行うシングルオーダーピッキングなら1人で1件を完結でき、ピッキングした人が梱包して送り状を貼って出荷するのが品質的に一番問題がないとの考え方で、モノに触れる回数が増えれば増えるほどリスクにつながるため、物流センター内の作業工程をなるべく減らすという考えを基本している。
しかし、当時入社した同社の社員から、出荷量の増え続けるアパレルの現場を見た際、「トータルピックしてGASで仕分けを行う方が早いのでは?」との意見が出たことから、実際に現場に導入してみると生産性が2倍になったほか、GASは別のゲートをわざと開けたりしなければ間違いようがないため、以前より品質も向上し、他のセンターでもGASを展開することになったとしている。
関通によると、品質に関する基本方針である作業工程を最小限にする考え方の半面、GASはシングルオーダーピッキングでは発生しない「仕分け」の工程が発生するものの、「検品」を兼ねて「仕分け」を行うことが可能なため、シングルオーダーピッキングで発生する「検品」工程を無くすことができる。そのため、作業工程を増やさずに導入できる点も同社がGAS導入を決め手となったとしている。
関西主管センターの中核業務は女性向け下着の通販向けと店舗向けの出荷業務で、もともと200坪でスタートした顧客が現在は1,500坪で出荷業務を行っている。はじめはシングルオーダーピッキングで問題なく業務を行っていたが、出荷量の増加に伴いスペースが広がり人数も増え、40名の生産性は1時間で1人12~13件。出荷量が増加しても人海戦術で対応せざるを得ず限界だった状況を受け、他のセンターで成果が出ていたGASを導入する運びとなったとしている。
その結果、関通によると、生産性も1時間で31~32件(MH)と倍以上に上がり、月に10万件の出荷が可能になったほか、月曜日~金曜日の9~18時で時間ギリギリまで行なっていた出荷作業が現在早い時には15時で作業が終了するほど業務が改善されたと報告している。
●現場改善とGASの生産性
しかし、導入当初から現在の生産性が出ていたわけではなく、そこに至るまでには現場運用の様々な工夫があったとしている。関通によると、GASはもともと24間口の2棚を対面に設置し、48間口を1ユニット(作業者1人分)として2ユニットでスタートしたが、さらに出荷量を増やす必要があった際、他のセンターでGASの間口を減らした方が生産性が上がった事例があったため、24間口4ユニットに変更したことで現在の生産性まで向上したとしている。
生産性向上の秘訣は、レイアウトの変更や仕分け方法の改善だけではない。現場のホワイトボードを見ると、「GAS仕分け階級表」があり、生産性ごとのランク付けと現場スタッフの写真と名前が貼られていた。関通によると、そうした表があると作業者同士が切磋琢磨してモチベーションも高まり、1時間に2,000ピース以上仕分ける方も多いとしている。表を見てみると、初心者でも1,200ピース、1,600~1,800ピースがボリュームゾーンで平均でも1時間に1,600ピースを超え、昨今の自動化機器と比べても非常に高い生産性を示したと報告している。
●ボトルネックが梱包になり、PaLSを導入
一方、関通によると、GASの間口には段ボールがセットされ、仕分けが完了すると後ろから取り出して梱包を行う。以前はGASの後ろに1ユニットにつき2人、4ユニットで合計8人で梱包作業を行っていたが、GASの仕分け作業と段ボールの梱包作業が競争になり、GASの生産性がさらに向上すると、梱包作業が完全にボトルネックになったとしている。
そこでPaLS(Packing and Labeling System)を導入。1時間に720箱の生産性でランダムサイズに対応した封函と送り状貼り付けを行えることで、8人で梱包していた作業が、GAS仕分け後の段ボールをコンベヤに乗せる2名に省人化し、送り状の貼り間違えも一切なくなったとの成果を報告している。
タクテックは、GASを導入することでピッキングから仕分けの工程の生産性が向上すると、下流の工程である梱包工程にボトルネックが移るとの顧客の声を聞き、PaLS(ランダム封函+送り状貼り付け機)を開発した。今回も同様の流れでの導入となったと紹介している。