パナソニック コネクト㈱は2月7日、i-PRO㈱の業界初(※1)となる設置現場に応じたAI追加学習を可能とするAIアプリケーションを搭載した新「Xシリーズ」のハイエンドAIネットワークカメラ9機種について、同月より順次取り扱いを開始すると発表した。

新「Xシリーズ」ハイエンドAIネットワークカメラの使用イメージ

●AI現場学習アプリケーションの概要
従来のAIアプリケーションは、人物、車、二輪車等、すでに学習済みの対象物のみ検知が可能で、昨今被害が増加しているクマやイノシシ等の動物、工場におけるフォークリフトといった特殊車両など学習されていない対象物は検知することができなかったとしている。それらを検知するにためには新たなアプリケーション開発が必要となるほか、様々な顧客の現場環境によって検知したい対象物と類似した物体の誤検知(誤報)や、検知対象物が検知されない(失報)等、精度にも課題が残されていたとしている。

新開発のAI現場学習アプリケーションでは、顧客の現場で追加学習を行うことにより、検知対象の追加や検知精度の改善等のAI動体検知アプリケーション(WV-XAE200WUX)の性能向上が可能。これにより、従来と比べて信頼性の高い解析データの取得や誤報・失報を抑えることが可能となり、野生動物による被害や工場内での接触事故の未然防止、無駄な現場巡回業務の削減等を実現する。

今回のAI現場学習アプリケーションは、現行モデル(※2)比で4倍のAI性能、3倍のCPU性能を実現し、新「Xシリーズ」で初めて搭載される。

●システム構成
・対応カメラ:新「Xシリーズ」(2024年2月時点)
・必要なAIアプリ:AI現場学習アプリケーション(無料)、AI動体検知アプリケーション(WV-XAE200WUXのライセンス購入が必要)いずれも新「Xシリーズ」にプリインストール済み。
・設定ツール:i-PRO設定ツール(iCT)(※3)
・連携機器:アラーム連携等に必要な機器はAI動体検知アプリケーションと同様となる。

システム構成

●検知対象の追加
AI現場学習アプリケーションを使って、AI動体検知アプリケーション(WV-XAE200WUX)の標準検知対象(人物・車・二輪車)に加え、現場で必要となる新しい検知対象の追加学習が可能。
[追加検知対象例と使用例](※4)
・フォークリフト等の作業車、スケートボード等の遊具:立ち入り禁止エリアに入るとアラームを発報
・クマ、イノシシ、サル等の野生動物:区域内に侵入したらアラームを発報
・店舗ユニフォーム着用者:出入口で、店舗ユニフォーム着用者と買い物客が通過した人数を分けてカウント

●新「Xシリーズ」の概要
基本性能や筐体デザインはそのままにAI性能を大幅強化する新「Xシリーズ」は、屋外用ボックスカメラ、屋内用ドームカメラ、屋外用ドームカメラのそれぞれ解像度2MP、5MP、8MPモデル(※5)各3機種で計9機種をラインナップする。2MP、8MPモデルは2024年2月、5MPモデルは2024年4月より販売。

●商品の主な特長
①高性能AI搭載により高負荷の画像解析をカメラ単体で実現
現行モデル(※2)比で4倍のAI性能、3倍CPU性能を実現し、最大9つのAIアプリケーションの搭載、最大5つ(※6)のAIアプリケーションの同時使用が可能。切り替えの手間なく必要なAIアプリケーションを1台のカメラで運用できる。さらに、アプリ領域を大幅拡張(RAM 450MB、ROM 6GB)したことにより、高負荷の画像解析をカメラ単体で実現する。

②AI現場学習アプリケーションにより顧客の現場でのAI機能強化が可能
誤検知情報や失報情報を顧客の現場で追加学習し、検知精度改善を実現する。また、今まで標準で識別できた人・車・二輪車以外にも、例えば製造業ではフォークリフトといった特殊車両等、検知したい対象を現場で追加学習させることが可能。

③夜間でも対象物を明確に撮像
50m照射のIR-LEDと光学3.1倍ズーム(8MPモデルは2.0倍)、およびAIプロセッサがもたらす画質自動最適化により、夜間でも対象物を明確に撮像可能。

④データの改ざんやなりすましを防ぐサイバーセキュリティー性能
第3者機関発行の電子証明書(Global Sign(※7))のプリインストール、FIPS 140-2 Level 3(※8)に認定されたハードウェアの搭載に加えて、カメラの乗っ取りを防ぐセキュアブートをi-PRO製カメラとして初めて搭載。セキュア性能が高い映像監視システムを提供する。

※1:セキュリティカメラ搭載AIアプリケーションで学習する方式において。2023年10月時点、i-PRO調べ。
※2:現行Xシリーズ
※3:最新のバージョンが必要。(2024年2月時点での最新バージョン:Ver3.10)
※4:検知可能な対象物を保証する内容ではない。
※5:解像度2MPはFHD、5MPは3K、8MPは4Kのこと。
※6:2MP、5MPモデルの場合。8MPモデルの場合は最大4つ。
※7:「Global Sign」はGMOグローバルサイン㈱の登録商標。
※8:FIPS 140-2は、米国連邦情報処理標準規格(Federal Information Processing Standards)で暗号化モジュールのセキュリティ要件を定めた規格。Level 3は、政府や法執行機関等、高いセキュリティが求められる場所に適したレベル。

●品番と主な仕様

モデルごとの仕様の詳細は上記表内のQRコード、または下記URLよりi-PRO WEBサイトで要確認。
https://i-pro.com/products_and_solutions/ja/surveillance/products/network-camera

●全モデル共通仕様
AIアプリ搭載数:最大9個
IR照射距離:50m
価格:オープン価格
発売時期:2MP(1080p)、8MPは2024年2月、5MPは2024年4月。