クラウド録画サービスのセーフィー㈱は10月18日、クラウドカメラの映像データと倉庫管理システム(Warehouse Management System:WMS)の連携サービスの提供を開始すると発表した。

クラウド録画サービス市場でトップシェア(※1)の同社は、今回のサービス提供に先行し、佐川グローバルロジスティクス㈱(SGL)の複数の営業所に導入している。

EC市場の急激な成長に伴い、物流需要も加速的に拡大を続けている中、物流の2024年問題(※2)に備え、トラックドライバーや倉庫の従業員の働き方改革が進み、長時間労働の削減が求められている。同時に、業界全体で働き手が不足している状況を受け、品質を維持しながらの労働時間の短縮や業務の省人化への対応が必須となっている。

物量の増大と共に倉庫内作業量も増える中、より高度で複雑な倉庫内作業や流通加工も求められている一方で、商品到着後に消費者からの問い合わせも急増。働き手不足が続く中で本来は付加価値の高い業務に時間を充てるべきところ、問い合わせの対応作業に時間や手間を割かざるを得ないケースが生まれているとしている。

同社はこれまで映像データをもとに遠隔での状況確認や映像解析による業務効率化・異常検知・予測等の様々なソリューションを提供。物流・製造業界(※3)での現場のDXを推進している。今回、提供を開始する映像データとWMSの連携サービスは容易に実現可能で、例えば、消費者から問い合わせが入った際、該当商品の検品の様子をすぐに振り返って問題がなかったかを確認したり、迅速に課題の原因の分析や対策を行うことができる。これにより、問い合わせから回答までの時間を大幅に短縮することが可能となり、倉庫作業の振り返りや品質担保に繋がり、ひいては消費者や荷主の顧客満足度向上にも寄与することができるとしている。

「Safie」のカメラ映像とWMSの連携サービスの使用イメージ
「Safie」のカメラ映像とWMSの連携サービスの概要

すでに「Safie(セーフィー)」のサービスを活用している場合、今回の連携サービスにより、既設の防犯カメラを活かしながら倉庫内の作業品質を向上させることが可能(※4)。また、1つの営業所の枠を超え、全社的な導入も容易で、物流業務の時間短縮や生産性向上まで、さらなる“現場DX”の支援に寄与していくとしている。

※1:テクノ・システム・リサーチ社調べ「ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査(2022)」より、エンジン別カメラ登録台数ベースのシェア(56.4%)
※2:2024年4月以降、働き方改革関連法によって「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用され、労働力不足やコスト増加等の諸問題が生じること。
※3:プレスリリース「セーフィー、カメラの無線LAN接続で現場全体を見える化するメッシュWi-Fiルーターとネットワーク構築サービスを提供開始」(2023年9月6日発表)
https://safie.co.jp/news/1910/
※4:関連技術について特許出願済み

●サービスページURL
https://safie.jp/solution/wms/

●導入の背景と概要
SGL千葉北営業所では消費者から商品発送後に問い合わせがあった際、作業に問題が無かったかエビデンスを探す、というコア業務以外の作業に各件平均で1時間かけて取り組んでいた。今回、セーフィーのカメラとWMSを連携させることにより、下記の結果を得たとしている。

取り組み:各検品台にエッジAIカメラ「Safie One(セーフィー ワン)」を設置、カメラ映像を社内のWMSの出荷管理画面に連携
結果と今後の期待:問い合わせが発生した場合、調査対象の検品作業の映像を1分もかからずに容易に確認が可能となった。繁忙期には、問い合わせ業務にかける時間を大幅に削減し、本来時間を割くべきコア業務や有人対応を要する業務に集中することが可能になった。将来的には荷主側でも映像データを確認できる仕組みを整え、倉庫の生産性や業務の品質担保、倉庫内の透明性をより向上させることも検討している。

ハンディーターミナルの作業コードをカメラに映して連携
SGL千葉北営業所の庫内
該当の記録映像を瞬時に探し出せる