「ロボットで世界の人々に、インスピレーションを」をミッションとする㈱MUSEは11月1日より、ストアロボット「Armo(アルモ)」の先行予約を同社Webサイトで開始した。製品の出荷開始は2024年内を予定しているが、先行して予約した顧客から順次、先行検証プランを案内するとしている。

「Armo」

●Webサイト
https://www.muse-gr.com

●製品動画
https://youtu.be/PffXiMDTzl0

「Armo」は小売店舗での利用に最適化された自律移動ロボットで、店舗内の品出し作業の搬送等の自動化に貢献する。2023年4月より大手食品スーパーマーケットチェーンの㈱ベルクの和光西大和店で実証実験を重ね、実運用に向けた一定の成果も確認し、先行導入を11月以降開始する。

●小売店舗の環境、オペレーションに最適化された製品設計   
これまで倉庫や工場の中ではAGVやAMR、飲食店では配膳ロボットといった各種搬送ロボットは導入が進んできたが、日本含め海外においてもスーパーマーケット、ホームセンター、ドラッグストア等の小売店舗において日常的に稼働しているロボットはほとんどない。

一方、小売企業も深刻化する人手不足や人件費の高騰の影響を受けており、店舗内の品出し作業等の省人化ニーズは強い。それでもロボットを導入できない背景は、小売店舗固有の環境およびオペレーションに起因する。

具体的には、①通路に買い物客が多く通行する、②通路幅が狭い、③店内にロボット誘導用のラインやマーカーの設置が困難、といった環境制約に対して、④多様な重量や形状の商品を搬送し、⑤マルチタスクで作業するスタッフを柔軟にサポートしなければならないというオペレーションの両立が必要となる。

そのため、仮に活用できたとしても、買い物客のいない営業時間外等でその限られた時間内では費用対効果を確保することが難しい、ということが一般的だった。そこで同社は小売店舗のそのような特徴に最適化したロボットArmoを設計し、環境およびオペレーションの両面に配慮したソリューションを実現する。

●品出し搬送の自動化によって1.5倍の作業生産性の改善
Armoを活用したオペレーションでは、店舗内で行われる品出し等の搬送作業は自動化される。さらに、バックヤードでの商品の積み替え作業や店内での陳列作業はスタッフがそれに専任化することで、習熟も早くなり生産性も向上する。(下図:作業フロー参照)

実証実験を行ったベルクでは、品出し作業の約1.5倍の作業生産性の向上につながることが分かっている。ベルクのオペレーション部門責任者の原田氏から、「Armoの利点は、店舗環境に走行が最適化され、既存のロボットに対して導入しやすいこと、また効果のポイントが分かりやすく、導入コストも魅力的です。やっと店舗で従業員と協働できるロボットが出てきたな、という感じです。」と評価されているとしている。

作業生産性と作業フロー

●資金調達について
当社は2022年10月にIncubate FundおよびXTech Venturesを引受先とした第三者割当増資により、シードラウンドにおいて約1億円の資金調達を実施しました。本調達資金を活用し、実機の開発及び顧客との実証実験、さらに人材の獲得を行ってきました。

●今後の展開
ストアロボット「Armo」の製品版は2024年内に出荷を開始する。予約した顧客にはArmoを実際の店舗で利用可能な先行検証プラン(1か月程度)を案内する。搬送に用いる専用カートは2パターン(カット台車タイプまたはドーリータイプ)から顧客が選ぶか、要望する形状や仕様にカスタマイズして提供することも可能としている。

Armoは今後の展開として売場画像の収集や買い物客の案内等のマルチユースの機能を拡充する。

店舗内のリアルタイムの売場画像を収集し、クラウドに蓄積することが可能となる。同機能を活用することで、商品の欠品率や欠品時間の測定、品出し作業との連携、棚割りのモニタリング等が可能となるほか、撮影した売場画像をもとに、買い物客に対して商品棚の場所や画像を表示して、実際に売り場まで案内することにより、さらなる店舗体験価値の向上に貢献する。

これらのマルチユース機能の拡充により、ロボットの導入効果を飛躍的に向上させることを可能とする。