米国ロックウェル・オートメーションの日本法人ロックウェル オートメーション ジャパン㈱は9月12日、自社で提供するクラウド型製造実?システム(MES)「Plex」のクラウドサーバを、10月1日より日本国内のMicrosoft Azureのデータセンターでホストすることを決定したと発表した。

同時に、Plexのユーザインターフェイスを日本語で提供開始し、日本語または英語で利用が可能となるとしている。

Plexは、生産管理・品質管理・設備効率など製造業者にとって重要な分野のデータを活用した業務改善を支援する、クラウド型スマート・マニュファクチャリング・プラットフォーム。そのサーバを日本国内に設置することで、データ主権(国内の法規や規制に従ったデータの保護・管理)の確保をはじめ、送信遅延の低減など多くのメリットが期待されるとしている。

ロックウェル・オートメーションは従来、世界中の顧客に対するサービスを米国内のサーバから提供していたが、近年のデータセキュリティやコンプライアンスの重要性の高まりに鑑み、サーバの現地分散を進めている。今年初めには、欧州・中東・アフリカ(EMEA)市場においてマイクロソフト社の現地サーバを利用しており、今回の日本国内での設置はそれに続く流れとなるとしている。

●Plexの特徴
Plexスマート・マニュファクチャリング・プラットフォームでは、スタンドアロンのMESから企業全体の強化につながる完全なエンドツーエンドの統合ソリューションまで、様々なオプションを選択可能。また、Plexは開発当初からクラウド型であり、多くの類似製品のようにクラウド対応を後付けで追加したものではないとしている。

クラウドネイティブであることは、常に最先端の環境が提供されることを意味する。従来のオンプレミス、ホスト型、さらには一部のSaaSベンダーによる製品では、バグの修正や新機能追加に時間がかかり、更新を有効にするためのアップグレードに手間取ることもあるが、Plexでは新機能の提供や機能改善はほぼ毎日行われるとしている。

Plexのクラウドサーバを提供するMicrosoft Azureは、顧客にとって馴染みがあり、信頼性の高いクラウドプラットフォーム。Azureの強固なセキュリティ管理、コンプライアンスツール、プライバシーポリシーはクラウド上のデータ保護を確実にするほか、日本の個人情報保護法(APPI)やEU一般データ保護規則(GDPR)など各国のデータ主権に関わる規制をPlexの顧客が遵守するのを支援する。

●Plexのグローバル展開
ロックウェル・オートメーションは今年初め、欧州・中東・アフリカ(EMEA)市場でPlex on Azureの提供を開始した。EMEAにおけるPlex顧客の1つが、文房具・ライター・シェーバーの世界的メーカーBIC社。同社はチュニジアのビゼルトにある工場(マシン90台、従業員400人)で、クラウド型PlexのSaaSソリューションを導入した。ライブレポートの提供、リアルタイムの可視化、データ収集の自動化、生産KPIの追跡を可能にするPlexを導入したメリットとしては、在庫管理の改善、廃棄物の削減、手作業によるエラーの削減、設備全体の効率(OEE)向上等が挙げられるほか、生産統合の自動化も可能になったことで、BIC社の現場従業員に大きな変化をもたらした。