パナソニック㈱/富士通㈱は8月30日、パナソニック㈱エレクトリックワークス社(パナソニックEW社)が、電設資材全製品のグローバル規模でのサプライチェーンリスクマネジメントを目的に、2021年7月より導入した富士通の提供するサプライチェーンリスク管理サービスをベースに構築したパナソニックEW社独自の運用手法「ES-Resi.TM(イーエスレジ)」を、EW社全社へ定着化させたと発表した。

これまでパナソニックEW社のサプライチェーンリスク管理は、国内17拠点および海外7拠点の各拠点単位でそれぞれ運用していたため、災害発生時に影響を受けた部品や製品、顧客に関する情報を把握し、全社としての対策アクションを立案するまでに時間を要するケースもあったとしている。今回の運用手法の確率を通じて、パナソニックEW社が提供する電設資材製品を安定的に供給することにより、経営トップから各拠点の管理者に至るまでタイムリーな情報把握を可能とすることで迅速な対策アクションを促進し、サプライチェーンマネジメントのさらなる強靭化を実現。デベロッパー・ハウスメーカー等の顧客からの信頼性を大幅に向上できたとしている。

近年、半導体の供給不足や、激甚化する自然災害等、企業運営において予期せぬ事態が常態化する中、有事における自社やサプライヤーの調達状況の把握等、事業継続に向けた迅速な対策が急務となっている。そのような中、パナソニックEW社は、国内の製造工場を中心に住宅用部材等の生産停止や出荷停止等の多大な影響を受けたが、その原因の多くは自社の直接的な被害によるものでなく、部材を供給するサプライヤーの被災によるものだったとしている。

同社は、自社が保有するサプライチェーンの脆弱性への対策強化を重要経営課題として認識し、より強固な事業継続体制を整備するため、富士通のサプライチェーンリスク管理サービスを導入し、それをベースに2021年11月に独自の運用手法「ES-Resi.TM」を確立するほか、有事における情報収集力の向上や、デベロッパーやハウスメーカーなど各業界の顧客との情報連携強化、サプライチェーン上に潜む災害リスクの顕在化による事前対策に取り組んできたとしている。

富士通はこれまで、多くの製造業の顧客に対し、サプライチェーンにおける事業継続能力の向上、サプライヤーの被災状況の迅速な把握、代替調達先の選定による安定供給の実現等に貢献してきた。今回、それまでの導入実績で培ったノウハウと知見を活かし、パナソニックEW社の「ES-Resi.TM」定着化を支援したとしている。

●「ES-Resi.TM」の主な特長
「ES-Resi.TM」は、事前にサプライヤーの供給体制におけるリスクを洗い出し、自然災害やサプライヤー側の事故など予測不能な事象に起因した部品調達の影響度合いを把握することが可能。これにより、有事におけるサプライヤーの被災状況を迅速に把握し、生産計画の見直しや代替調達の検討ができるほか、自社のリスク対策状況を全社で一元的に可視化できるとしている。

(1)自然災害発生時における迅速な影響把握と対策アクションの促進を実現
震度5強以上の大規模地震や、危険な場所からの避難が必要とされる大雨警戒警報レベル4以上の気象庁データを自動的に取り込み、警戒対象地域のサプライヤー拠点を地図上で表示し、影響のある調達部品や発注元情報を把握することが可能。また、それらの情報をビジネスコミュニケーションツール「Microsoft Teams」のチャット機能を活用して、パナソニックEW社の経営層を含む全社関係者での迅速な影響把握と対策アクションの促進を実現している。

自然災害発生時の「Microsoft Teams」スレッド共有

震度5以上や大雨警戒レベル4以上の気象庁データに自動リンクしたサプライヤー情報の提供(※)

(2)グローバルでも国内同様のアクションを展開
パナソニックEW社のサプライチェーンに影響を及ぼす、グローバルな災害情報をリアルタイムに災害アラートとして「Microsoft Teams」のチャット機能を活用し、国内と同じ水準で展開している。

グローバル災害アラートを「Microsoft Teams」スレッドで共有(※)

(3)全社規模のリスク対策状況を一元化して可視化
商品カテゴリーごとに重要品目を選定し、そのリスク対策状況を全拠点が共有サプライチェーンツリーで事前登録することをKPI指標に設定した。これにより、全社規模のリスク対策状況を一元的に可視化でき、リスク管理運用を全社で標準化することで、主力商品のサプライチェーンの強靭化を実現している。

重要製品のサプライチェーンツリー&リスク対策登録

※富士通のサプライチェーンリスク管理サービスの画面(地図情報は「Google Maps Platform」を利用)