米国RENATUS ROBOTICS Inc.の日本法人RENATUS ROBOTICS㈱は11月24日、独自の「ワンストップ梱包」(※1)による高効率な自動倉庫システム「RENATUS(レナトス)」の提供を開始した。

①導入設備を大幅に削減した設計によるイニシャルコストの大幅な削減、②ワンストップ梱包方式により従業員の人件費が最大で1/3に削減、③故障リスクを分散させることで倉庫全体のダウンタイムの発生リスクを最小化、との3つの特長により、高効率・低コスト・低リスクな無人倉庫を実現している。

※1:ピッキング・集約・梱包を、1人の作業者で完結することができる新方式の梱包手法。事前の並び替えを不要とするリアルタイムでの順立て出庫が可能な自動倉庫システムとして世界初(他社プロダクト調査によるRENATUS ROBOTICS調べ。2022年11月)

●次世代の自動倉庫システム「RENATUS」の特徴

「RENATUS」搬送シャトル

RENATUS(レナトス)は倉庫内に建てられた高さ5~20mのラック内において、ラックに敷設されたレール上を専用シャトル「RENATUS SHUTTLE」が走行することでコンテナを効率的に作業者の元へと運ぶ次世代GTP(Goods To Person)。RENATUSには従来のGTPと異なる特徴が以下の3点あるとしている。

(1)ワンストップ梱包
RENATUSはコンテナ単位で荷物を輸送するため、ピッキング作業は常にコンテナの中身をピックするのみで完結し、荷物を探す・迷うといった時間のロスやミスが発生しない。加えて、シャトルが作業者へコンテナを供給するタイミングは全て後述のRENATUS CORTEXにコントロールされており、完全に順立てされている。そのため、作業者はコンテナからピックした荷物をそのまま出荷用の段ボールに繰り返し入れてゆくだけでピッキング・集約・梱包の3工程が一度に達成される「ワンストップ梱包」が可能になったとしている。

(2)圧倒的なピッキング速度
RENATUSは従来の3次元走行型AGVと異なり上下方向へ自走しない。ラック内の各フロアのシャトルが水平2方向の高速移動に特化(4m/s)することで、業界最速の輸送を実現したとしている。

さらに、機体およびラックの設計に余計な複雑さが無いため、3次元走行型に比べ故障が起こりづらいだけでなく、価格が非常に安価となった。加えて、各フロアの外縁部には高速昇降リフトが配置されており、荷物の上下方向への運搬を行う。その昇降リフトの移動速度は従来の3次元走行型AGVを大幅に上回り(4m/s、4m/s2)、庫内搬送を更に高速化している。これらの高速化によりRENATUSは1時間1人当たり500行以上(※2)のピッキングを実現する。

※2:作業員が倉庫を歩き回ってピッキングする際の効率は25行程度であり、約20倍高速にピッキングを行うことができる。

(3)究極の格納効率
配車最適化アルゴリズム「RENATUS CORTEX」はシャトル2000台を同時制御できる独自システム。ラック内部を数百~数千台のシャトルが走行すると、従来のアルゴリズムではシャトル同士の衝突が多発してしまう問題がある。衝突しない配車計画を実時間で計算するアルゴリズムは最新の研究分野だとしている。

同社は「RENATUS」の開発を通じて独自の配車最適化アルゴリズムを発明し、実用化。世界初の同アルゴリズムによって、シャトルは大規模ラック内部において、最短ルートを衝突なく高速移動する。

RENATUS CORTEXの計算結果はローカル5Gを介して各シャトルに伝達される業界初の方式をとっており、機器間の安定した高速通信を実現している。

独自の配車最適化アルゴリズム、新方式の通信環境によってRENATUSはラックの大規模化を可能としている。加えて、バッファ装置やベルトコンベヤ等の設備を削減できるため、面積効率が大幅に向上し、コンテナ100万箱以上を1拠点に高密度保管することが可能になったとしている。