ゼブラ・ テクノロジーズ・ジャパン㈱は9月5日、本体のゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーションが実施した倉庫業界における業務上の意思決定や投資の動向を分析する「未来の倉庫業務に関するグローバル調査2022」の結果を発表した。

今回の調査結果より、倉庫業者が顧客・従業員双方のニーズを満たすべく大規模な投資を行っており、スムーズな人材採用に結び付いていることが明らかになった。

●「未来の倉庫業務に関するグローバル調査2022」概要
調査企画:ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーション
調査期間:2022年1月~2月
調査実施:Azure Knowledge Corporation(米調査会社)
調査対象:製造業、小売業、運輸業、物流業、卸売業において倉庫や配送センターの運営・管理を担う企業幹部、および従業員1,500人以上
調査方法:オンライン調査
調査地域:北米、中南米、欧州、アジア太平洋地域(オーストラリア、中国、インド、シンガポール、日本含む)

●市場からの圧力がポジティブな変化をもたらす契機に
倉庫業界の企業幹部のおよそ10人中9人が、オンデマンド経済下で競争力を維持するために新しいテクノロジーを導入する必要があると考えているほか、80%がコロナ禍においてより迅速に業務の進化、および近代化が推進されたと回答。日本を含むアジア太平洋地域の企業幹部も世界的な傾向と同じく近代化に対する圧力を感じており、約3/4がコロナ禍により変化が促されたと回答した。

倉庫業界は従業員の生産性向上のための能力強化とワークフローの自動化を支えるテクノロジーに重点を置き、多額の投資を実施。具体的には、アジア太平洋地域を含む全地域で企業幹部の10人中9人以上が今後数年間でウェアラブル、モバイルプリンタ、堅牢なタブレット、および小包やカートンの採寸を自動化するモバイル寸法測定ソフトウェアの使用を増やすと回答した。また、倉庫業者の27%がすでに何らかの形で自律走行搬送ロボット(AMR)を導入しており、同数値は今後5年以内にアジア太平洋地域で92%、世界で90%に達する見通し。

●倉庫が抱える課題
倉庫業界の企業幹部は、3年前と比べ顧客の注文を時間通りに出荷することが難しくなっているとし、在庫の正確性および可視性の維持に苦心しているほか、オンデマンド経済に対応するため、これまで以上に迅速な注文品の配送が求められていることに加え、輸送コストの上昇が製造、輸送、卸売販売、物流、小売にまたがる倉庫業者にとって負担となっているとの回答は40%以上にのぼった。なお、過去2年間で出荷量が平均20%以上増加している。

倉庫作業員と同様に、倉庫業者もこれらの課題を変化と成長をもたらす契機と捉えおり、10人中8人以上が今後3年間で在庫管理単位(SKU)の取扱量と出荷量が増加するとの見通しを示しているほか、返品管理業務の拡大、より付加価値の高いサービスの提供、倉庫棟数と規模の拡大による物理的な倉庫面積の拡張も計画されている、とした。

●均衡を保つ:自動化による従業員の能力強化
世界的な傾向として、倉庫業者の大半がPTG(Person to Goods)ピッキング、資材移動、その他の自動化された在庫移動のためにAMRの活用を検討しているが、今後は分析および意思決定の自動化をサポートするソフトウェアへのさらなる投資を計画している。アジア太平洋地域では、企業幹部の95%が作業効果・効率の向上、および人件費を削減する目的でこうしたソフトウェアに投資する意向を示しており、世界平均の94%をわずかに上回った、としている

●仕事の満足度と労働者の定着率が自動化の副産物に
倉庫作業員10人中約8人(アジア太平洋地域79%、グローバル78%)が、たとえより多くの商品をピッキング・処理しなければならないとしても、1日の歩行距離が減ることで仕事がより楽しくなると答え、多くの作業員はAMRによる倉庫業務のストレス軽減に期待している。作業員の多くは、
――AMRの導入によって生産性が向上し、歩行・移動時間の短縮(83%)、エラーの減少(73%)、新たな役割や機会への昇進(65%)が実現したと回答
――古いデバイスを使っていたり、デバイスの支給がない企業と比べ、業務用の最新デバイスを支給してくれる企業で働く可能性が高いと主張(83%)

一方、ロボティクスやデバイス等の倉庫テクノロジー導入が作業員を惹きつけ、雇用が維持できるとの回答はアジア太平洋地域では36%、世界では41%にとどまった。

●倉庫業務における今後5年間のテクノロジー展望
世界的にみると、企業幹部の85%が最前線の現場作業員が在庫の動きを個々に把握できるようモビリティを導入していると回答し、大半が業務内容、安全、人間工学に合わせてデバイスの使用を最適化できていると考えている。しかし、倉庫作業員の84%、および企業幹部の79%は業務改善のためにさらなるテクノロジー投資を行わなければ、ビジネス目標の達成が困難な点を懸念。特に輸送業界(92%)と物流業界(88%)の従業員がその必要性を最も強く感じている、としている。

その結果、企業幹部の10人中6人以上が、今後5年間で倉庫内の在庫と資産の可視化、およびサプライチェーン全体の可視化を向上させるテクノロジーに投資するとの見通しを示している。RFID、コンピュータービジョン、固定式産業用スキャン、マシンビジョンシステムなどのセンサ系テクノロジーの利用が、今後5年間でより一般的になると予想する企業幹部は10人中9人を占めた。企業は可視性の向上、リアルタイムガイダンス、データ駆動型のパフォーマンスを実現する先進テクノロジーに投資することでチームの生産性の向上、資産・設備・人材のより良い活用を目指している、としている。