㈱Mujinは6月8日、㈱トーアエンジニアリングがMujin製コントローラを用いて㈱宮本工業の工場における、木材加工後のプレカット建材の積み付けを自動化したと発表した。

建築業界でプレカット(※1)手法が主流になった現在、プレカット工場では多くの業界と同様、少子高齢化による労働力不足が加速しているほか、加工業務の自動化が進む一方で、木材の加工機への投入や、切り出された建材の積み付け・梱包作業の多くは人手で担われており、負荷の大きな作業となっている。

トーアエンジニアリングはプレカット業界のパイオニアとして、プレカット加工機の開発・販売を手掛けている企業。同社は業界の課題を踏まえ、加工のみならず、ロボットを活用した後工程の自動化システム開発を進めていた。プレカットされた建材は、形状・大きさが多様なため、導入時のロボット制御プログラミング(ティーチング)工数が膨らむこと、また、各建材に合わせて効率的なロボットの軌道を実現することが課題となっており、それらを解決する手段として知能ロボットコントローラ「Mujinコントローラ」が採択された。Mujinコントローラのロボット制御により、トーアエンジニアリングのプレカット加工機と連動する加工後の建材積み付けを担うロボットを実現した。

宮本工業は先進的な技術を取り入れ、プレカット製品の製造・販売を担う企業。同社はプレカット加工工程後の建材積み付け作業に課題を感じ、トーアエンジニアリングのプレカット加工機、および加工後の建材積み付けロボットの導入を決め、自動化を実現された。

同プロジェクトでは3Dビジョンは使用せず、Mujinコントローラがトーアエンジニアリングのプレカットシステムと連携し、システムが保有するCAD/CAMデータ(※2)を基に、ロボットの制御を行っている。Mujinコントローラは、形状・大きさが異なる建材に対して、都度最適な軌道生成を行うことが可能で、搬送軌道最適化およびロボットを稼働させるためのティーチング工数削減を実現している。

●建材積み付けロボットの担う工程
・加工後の建材の積み付け
・スペーサとなる木片の配置
・積み付け順序調整用の仮置き台との連携
・端材の廃棄

※1:住宅設計図の情報をもとにコンピューターで必要な木材を割り出し、加工機によって生産すること。建築業界で木材加工はかつて建築現場にて行われていたが、現在はほとんどがプレカット工場で事前に行われている。

※2:図面データから、必要な部材・加工データを生成する技術