日本パレットレンタル㈱(JPR)は11月5日、改正物流効率化法に基づき義務化された特定荷主による中長期計画の提出期限(10月30日)を迎えたことを受け、11月5日にレンタルパレットに関するデータを公開した。JPRによると、「物流2024年問題」が社会的な話題となった2022年以降、企業間でリレーして使用されるレンタルパレットは約14%増加し、2025年に延べ約2億3,700万枚となった。2026年9月現在、同様の傾向が続いている。

改正物流効率化法の施行を背景に、多くの企業が物流問題の解決や経営視点での物流の革新に取り組んでいる。特に顕著な点は、荷役作業の効率化に効果を発揮する「輸送型」のレンタルパレット利用の増加で、JPRの共同回収システムの利用枚数は2022年以降、約20%の増加を示した。

JPRでは、こうしたデータが、改正物流効率化法に基づき選任された物流統括管理者(CLO)に求められる物流の標準化や企業間の連携にいち早く取り組んでいる企業が多いことを反映しており、国に対する中長期計画の提出期限を迎えて、物流業界はいよいよ変革に向けた実行フェーズへと移行していると指摘。JPRのレンタルパレットサービスは、多くの企業の選択によってさらに安定性を高め、次世代の物流につながる共創の基盤へと進化していくと見ている。

佐賀県農業協同組合でのたまねぎの輸送。標準規格のレンタルパレットをリレーして輸送を行うことで、トラックドライバーの負担を軽減する取り組みが農産物業界でも広がっている。

●回収システムをセットにした循環型プラットフォーム
JMRによると、標準パレットを企業間でリレーすることによって荷役作業の省力化が可能となり、これを「一貫パレチゼーション」という。JPRでは全国の主要卸売業、小売業の物流センター等から、輸送に使われた後の空パレットをまとめて回収する共同回収ネットワークを構築。利用企業の一貫パレチゼーションを支えている。標準化や共同化によって、個々の企業による運用で起こりがちな回収の非効率や紛失を抑制し、トータルコストを最適化する。JPRは企業の垣根を超えた一貫パレチゼーションを実現する循環型のプラットフォームを担っている。

JPRは標準規格T11型パレットを中心に約1,313万枚を保有し、年間約5,436万枚を企業に供給している。1枚のパレットは、企業から企業へとリレーされ、1年におよそ4回循環する計算になるという。供給から返却・回収までの循環の過程でパレットがリレーされる機会は、2022年から2025年に約14%増加し、延べ約2億3,700万枚となっており、1秒あたり7.5枚のパレットのリレーが行われている計算になるという。

企業間を跨ぐパレットのリレー回数(同一法人の拠点間の移動を含む。2025年1月~12月)

●「輸送型」の利用の増加が顕著
パレットの利用方法は、倉庫内に限定した「保管型」と製品出荷に用いる「輸送型」に分類される。JPRが提供する共同回収システムは、「輸送型」の利用を可能とし、共同回収拠点向けにリレーされたパレットの枚数は2022年比で1.20倍に増加している。この伸びは、供給枚数の伸びを上回っており、2026年1月から9月までの実績においても同様の傾向を示している。

レンタルパレット供給枚数と共同回収システム利用数の推移(2022年を1とした場合) ※2026年は1月~9月実績に基づく予測値

●規模の拡大が生み出す好循環
運用規模が拡大することで好循環が生まれている。その1つが供給の安定性の向上。パレット供給の拠点となるデポの機械化が可能となり、供給の安定性が向上している。

機械化による供給安定性の向上(千葉白井デポ)。規模拡大によって自動化への投資が可能となった。

パレットの循環を支えるため、JPRでは年間約39万回の車両運行を行っている。このうち、空パレットの共同回収と地域間のパレット在庫の偏在調整を目的とした車両運行は計約29万回。パレットデポと運送を一体的に運用することに加えて、企業の協力を得ながら輸送回数を抑制し、システムの安定性を高める取り組みを続けている。

共同回収システムの利用枚数と輸送回数の比較(2022年を1とした場合)

●輸送回数を抑制し、安定供給を支える6つの取り組み

①主要デポの自動化を通じた能力強化によって、未整備パレットのデポ間輸送を抑制

②多様な地域の利用企業が加わることによってデポ間輸送を削減

③共同回収拠点とのコミュニケーションやデータ分析による回収時の積載効率向上

④同業のレンタルパレット会社との合同回収車両の運行

⑤利用企業との共同輸送やモーダルシフト

⑥共同回収拠点から利用企業へのダイレクト納品等、新たな運用の開発

●未来の物流の基礎と位置付けられる標準パレットの循環システム
国が公表した「総合物流施策大綱(2026年度~2030年度)」では、「4.物流に携わる多様な関係者の連携・協力による物流標準化と物流DX・GXの推進」の項で、個社や業種分野を超えた共同化や物流施設の自動化・機械化等に向けたユニットロード化、一貫パレチゼーション等を実現するための「標準仕様パレット」の普及が明記された(※)。JPRによると、これは標準パレットが喫緊の課題となっている荷役効率化に留まらず、デジタルデータを活用し物流リソースの共同化が進展する未来の物流の基礎となることを示しているとしている。

※出典:総合物流施策大綱(2026年度~2030年度)国土交通省
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu03100.html

JPRのデジタル化への取り組み。レンタルパレットの受け払いを電子化した「X-DD」を操作する様子。

JPRでは、複写式の紙の伝票をデジタル化するとともに、積載商品の納品伝票を電子化し企業間で共有・活用するDD Plusとも連携している。