㈱コマースロボティクスは9月14日、クラウドWMS(倉庫管理システム)を基幹に据えた統合型ERPへの製品戦略、および今後の開発方針を発表した。

同戦略は、同社がこれまでクラウドWMS事業で行ってきた多数のERP・基幹システムとの連携経験を踏まえて、ERPとWMSを別々に導入して接続する従来型の構成ではなく、WMSを柱として販売管理・受注管理・電子受発注を一体的に開発する方針へ転換するもの。

●製品戦略のポイント
・WMSを基幹に据え、販売管理・受注管理・電子受発注を同一データ基盤上で一体開発する方針を決定
・第1段階として、中小企業向けクラウドERP「eerp(イイ・アールピー)」を2026年11月1日に提供開始
・クラウドWMSで蓄積した物流ロボット・マテハン設備との連携技術をERP領域へ展開
・中小企業が段階的に導入・拡張できるクラウド型での提供を基本方針とする

●eerpサービスサイト
https://eerp.jp/

同社はこれまで、クラウドWMS「エアロジ」を通じて、EC・通販、メーカー、卸売業、小売業、3PL・物流事業者等、様々な業種の物流現場に倉庫管理システムを提供してきた。クラウドWMS「エアロジ」は2026年6月31日時点で2,000社以上に導入され(自社調べ)、2025年度(2025年1月~2025年12月)には年間6,000万件以上の出荷処理を実施している。その過程で同社は、多数のERP・基幹システムとクラウドWMSとの連携を手がけてきた。

一般的なERPや販売管理システムには、帳簿上の在庫数量を管理する在庫管理機能は搭載されていても、倉庫内の入荷、棚入れ、ロケーション、ピッキング、検品、出荷といった実作業を管理する機能が対象外となっている場合がある。そのため、在庫を保有する企業では、ERPとは別にWMSを導入し、商品マスタ、入荷予定データ、受注・出荷指示データ、倉庫在庫データ、出荷実績データ、返品実績データ等を連携する必要が生じる。

この連携には個別のカスタマイズ開発を要することが多く、開発費用に加えて、大量データの連携テスト、障害発生時の原因調査、システム変更時の改修といった負担が継続的に発生する。IT部門や専任のシステム保守要員が少ない中小企業にとって、この負担は基幹システム刷新の障壁となる。

同社は、そうした連携の負担を個別開発によって解消し続けるのではなく、製品構成そのものを見直す必要があると判断し、今回の製品戦略を策定した。

●製品戦略の3つの方針
①WMSを基幹とした一体開発への転換
ERPに在庫管理機能を後付けするのではなく、倉庫の実作業を管理するWMSを製品の基幹に据えて、その上に販売管理、受注管理、電子受発注の各機能を同一データ基盤で構築する。これにより、商品マスタ、受注、在庫、出荷実績といったデータをシステム間で個別に連携する必要がなくなる。受注データは倉庫への出荷指示に反映され、倉庫で確定した出荷実績は売上・請求データへ連動する。入出荷によって変動した在庫情報も、販売可能在庫として受注管理・受発注の各機能へ速やかに反映される構成とする。

②物流自動化への対応をERP領域へ展開
同社のクラウドWMSは、これまで自動搬送ロボット、棚搬送型ロボット、自動仕分け機、ソータ、コンベヤ、自動梱包機、重量計・寸法計測機器、ラベルプリンタ、ハンディターミナル等、多数の物流設備との連携を実現してきた。通常、ERPと物流設備を接続するためには、ERP、WMS、設備制御システム間の仕様調整や個別開発が必要である。設備ごとにデータ形式や処理タイミングが異なるため、導入前の設計、接続テスト、稼働後の保守にも専門的な知識が求められる。同社は、クラウドWMS事業で蓄積してきた、それらの連携技術と運用ノウハウを、ERP製品においても活用できる形で提供していく方針。近年は物流倉庫だけでなく、製造業の工場や部品倉庫でもマテハン設備の導入が進む一方、中小企業では設備と基幹システムを連携するための技術者や予算の確保が課題となっており、この領域を重点的な開発対象と位置づける。

③クラウド型・段階導入を前提とした提供
オンプレミス型ERPの導入・維持は、中小企業にとって初期投資と運用負担の両面で負担が大きくなる。同社は全機能をクラウドサービスとして提供し、見積管理、販売管理、倉庫管理等、必要な機能から段階的に導入・拡張できる提供形態を基本方針とする。

●製品ロードマップ
第1段階として、同戦略に基づく製品である中小企業向けクラウドERP「eerp」を2026年11月1日に提供開始する(9月1日にプレリリース済み)。eerpは、電子受発注、販売管理、受注管理、倉庫管理を同一のデータ基盤で提供し、見積・受注から在庫・出荷・売上・請求までを一気通貫で管理する。対象業種は、製造業、商社、卸売業、小売業、EC・通販事業者、食品関連企業等を想定している。

第2段階では、物流ロボットおよびマテハン設備との連携対象の拡大を進め、中小製造業における部品・原材料の入荷、保管、工程への供給、完成品の入庫・出荷まで、段階的な自動化に対応できる体制の構築を目指す。

※各段階の具体的な提供時期および提供形態は、今後の開発状況に応じて決定する。

●㈱コマースロボティクス 代表取締役 伊藤彰弘氏のコメント
当社は、EC・通販企業を中心として、受注から倉庫、出荷までのDXに取り組んできました。その中で数多くのERPや基幹システムとクラウドWMSを接続してきましたが、連携のカスタマイズには相応の費用がかかり、テストや安定稼働にも負担が発生します。この構造は、個別案件ごとの工夫では解消しきれないと考えました。在庫を持つ企業にとって、倉庫の実作業はそのまま在庫データであり、売上データです。であれば、倉庫管理を後付けの連携先として扱うのではなく、製品の中心に置くべきだというのが今回の結論です。当社がWMSを事業の起点としてきたからこそ採れる方針だと考えています。第1段階となるeerpを11月1日に提供開始しますが、これは戦略の完成形ではなく起点です。将来的には、中小企業が自社の規模に合わせて物流の自動化まで段階的に進められる製品群として、開発を継続してまいります。