(一社)日本物流団体連合会(物流連)は9月29日、全日通霞が関ビル(東京都千代田区)において、令和7年度 第1回経営効率化委員会(委員長:外山俊明氏 ANAホールディングス㈱ 顧問 兼 ㈱ANA Cargo 取締役会長 外山俊明氏)を開催した。

同委員会は、物流業において経営上のリスクとなる問題について調査検討を行っており、労働生産性の向上、ダイバーシティ推進や危機管理等、テーマごとに適宜小委員会等を設置して調査を行うほか、国の施策について情報提供等を行うため設置しているもの。

経営効率化委員会風景

第1部の講演会には、ヤマト運輸㈱ 働きやすい職場作り推進部 EX推進課長の高橋幸一氏を講師に招き、「ヤマトグループにおける障がい者福祉の取り組みについて」と題した講演会を開催した。

講演で高橋氏は、最初に厚生労働省が公表したデータを挙げ、我が国における障がい者雇用を取り巻く環境とその雇用率や雇用数の推移等について紹介があり、産業別にみると「運輸業・郵便業」は実雇用率(2.45%)においても法定雇用率達成企業の割合(52.6%)においても、全体の数値(同2.41%,同46.0%)を上回っている点等に触れた後、今後の法定雇用率の動向や法定雇用率未達時のペナルティ等について詳しく解説し、障がい者雇用はもはや単なる法律で定められた「義務」ではなく、企業の持続的な成長と競争力強化に不可欠な「経営戦略」としてますます重要になっていると説明した。続いて、ヤマト運輸の故・小倉昌男元会長が目指したノーマライゼイション(高齢者や障がい者等の社会的弱者を特別視せず誰もが健常者と同等に生活できる社会を目指す考え方)、そして、(公財)ヤマト福祉財団の設立と活動内容、およびヤマト運輸ならびに同グループにおける障がい者福祉に対する全体方針や取り組み等について、事例や動画も交えて具体的に紹介した。最後に、今後も雇用率を維持向上させていくためには、障がい者が安心して長く働き、活躍できる環境を社内全体で作り上げていくことが不可欠であり、そのためには経営トップによる強い意志表明と推進体制の構築が極めて重要であると説明した。

講師のヤマト運輸・高橋幸一氏

引き続き行われた第2部の委員会では、「令和7年度上期活動報告」として、

①障がい者活躍推進ワーキングチーム(ダイバーシティ推進)
②「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」への参画
③「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」への参画
④「官民物流標準化懇談会」および「モーダルシフト推進・標準化分科会」への参画

の4点の活動状況について事務局より報告した。

外山委員長

続いて「令和7年度下期活動計画(案)」について、

①「先進技術の活用」、「物流デジタル化」等に関する検討~「先進技術活用推進情報交換会(仮称)」の設置~
②施設見学会の実施
③「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」および「官民物流標準化懇談会」ならびにその分科会等への参画

の3点を実施していく案が事務局より示され、原案通り承認された。