㈱豊田自動織機は5月27日、(公社)発明協会が主催する令和7年度全国発明表彰において「内閣総理大臣賞」を受賞したと発表した。
全国発明表彰は、科学技術の向上と産業の発展を目的に、独創性に富む発明、考案、または意匠の完成者を表彰する制度で、「内閣総理大臣賞」は最高位の「恩賜発明賞」に次ぐ賞であり、同賞受賞は同社初となる。
今回の受賞は、トーイングトラクターのレベル4(※1)自動運転の実現に必要なセンサ類の機能要件と美的要素を調和させた機能的意匠が評価されたもの。

自動運転トーイングトラクターは、空港で手荷物や貨物を収容したコンテナ等をけん引する無人搬送車両。同車両には、多様な環境下におけるレベル4自動運転の実現のため、周囲状況や自車の位置を的確に認識し、安全かつ正確に走行するための技術として、3次元LiDAR(※2)を活用した複数センサによる障害物検知、路面パターンマッチング(※3)、GNSS(※4)等を搭載し、冗長化された自己位置推定機能を採用している。同意匠は、これらの高度な技術を美しい外観にまとめ、働く人だけでなく、空港を訪れる人に明るい未来を感じてもらえることを狙いとしている。
豊田自動織機は、空港業務の持続的な発展のため、2025年中の自動運転トーイングトラクターの実用化に向けて取り組みを進めている。
●受賞および受賞者[敬称略]
▽内閣総理大臣賞/森博樹(㈱豊田自動織機トヨタL&Fカンパニー製品企画部)
藥師忠幸(㈱豊田自動織機トヨタL&Fカンパニー製品企画部)
▽発明実施功績賞*/伊藤浩一(㈱豊田自動織機 取締役社長)
*「恩賜発明賞」や「内閣総理大臣賞」等の特別賞を受賞した企業や団体の代表者に贈られる賞
●意匠のポイント

※1:特定条件下における完全自動運転。特定条件下においてシステムが全ての運転タスクを実施
※2:対象物にレーザ光を照射し、その反射光を測定することで対象物までの距離を正確に測定できるセンサで、車両周辺状況の把握に使用。
※3:車両に搭載したカメラで撮影した路面画像と事前に作成した路面画像マップデータをマッチングすることで、車両の位置・姿勢情報を取得する技術。
※4:Global Navigation Satellite Systemの略で、米国のGPS、日本の準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムの総称。