オムロン㈱と米国コグニザント㈱は4月8日、製造業のイノベーションを推進するワンストップソリューションに向けて、戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。今回のパートナーシップにより、コグニザントの高いITソリューション力とオムロンの高品質な現場データの収集力を融合することで実現できるEnd to Endソリューションの実装、運用、保守を提供する。今回の協業において、コグニザントはオムロンの制御機器事業が展開する製品のエンジニアリングパートナーに選出された。

高度な自動化技術で知られるオムロンと、IT-OTコンバージェンスに精通したコグニザントは、DXに向けた独自のワンストップソリューションを提供する。今回の提携は、オムロンのOT製品(センサ、コントローラ、サーボモータ、安全制御機器、ロボット等)と、コグニザントのIT技術(クラウド、AI、IoT、デジタルツイン技術等)を融合させたソリューションを可能にするもの。今回の協業を通じて、両社はフレキシブルかつアジャイルなオペレーショナル・エクセレンスを実現する独自のケイパビリティを提供する。これにより、自動車、半導体、電子機器、工業製品、ライフサイエンス、消費財などの幅広い業界をターゲットに、現場実装からコンサルティングまでのソリューションをワンストップで提供することが可能としている。
さらに両社のケイパビリティを融合させることで、継続的なIT-OT分析・改善を通して現場・経営課題に対処する、独自のビジネスモデルの確立を目指すほか、今回のIT-OT統合を通じて、両社の強みを活かしたサステナブル・マニュファクチャリングを推進し、生産性・労働効率の向上、温室効果ガスの削減を図る。
オムロンの幅広い製品ラインナップ(20万種以上)を通して高品質なフィールドデータを収集し、これをコグニザントのAsset Performance Excellence(APEx)と呼ばれるアプリケーション・プラットフォーム(実装例として提供)やインダストリー4.0/5.0の考えを含んだ成熟度評価ツール「OnePlantTM」による製造業向けコンサルティングで活用する。そうしたデータと管理情報を組み合わせることで、IT側で問題・課題を分析し、その改善について経営視点で優先順位付けが行えるよう支援する。オムロンの制御アプリケーションやi-BELTデータ活用サービスを通じて結果をフィードバックし、顧客と協働しながら、経営課題につながりかねない現場課題にも包括的に対応する。
●オムロン代表取締役社長兼CEOの辻永順太氏のコメント
「オムロンは、製造ラインに使用されるすべての機器を保有する世界で唯一の制御機器メーカーです。一方、コグニザントは、AI、IoT、クラウドをはじめとした先進的なデジタル技術で、多岐にわたる業界のデジタルトランスフォーメーションを支援する世界有数のグローバルITサービス企業です。今回の提携を通じ、ITとOTの融合を進め、生産性の大幅向上、業務ロスの削減、経営判断の迅速化など、製造現場が抱える喫緊の課題を解決していきます。そして、持続可能な最先端の未来のモノづくりを推進すべく、両社で取り組んでまいります」
●コグニザントのCEOラヴィ・クマールS氏のコメント
「お客様は、業界や専門分野に関する深い知識、エンドツーエンドの技術力、そしてデジタルファクトリーの各階層における複雑なテクノロジーに対応できる戦略的パートナーを求めています。オムロンとの協業で、ソリューションやケイパビリティの提供を通じ、世界中のお客様のモノづくり革新に貢献できることを嬉しく思います。OTデータやシステムに関するオムロンのノウハウと、コグニザントのデジタル・マニュファクチャリングやIT/OT統合技術を組み合わせることで、1,000分の1秒を超えるようなスピードでの超高速なデータ取得・制御も可能になり、迅速かつ信頼性の高い意思決定を行うことができます。オムロンとコグニザントはともに、革新技術を用いてIT-OTシステムを統合することで、コネクテッドかつインテリジェントな、自律的で持続可能な、そしてレジリエントな製造の未来像を実現し、製造業の発展に尽力してまいります」