ヤマト運輸㈱は4月7日より、イラストや文字を指差しするだけで宅急便の発送手続き等ができるヤマト運輸独自開発の「コミュニケーションボード」を、東京都内と関西エリアの767か所の営業所に先行導入すると発表した。

また、2025年4月13日から開催する大阪・関西万博会場内のヤマト運輸 宅配・手荷物預かり東ゲート・西ゲート店にも導入し、聴覚障がいのある顧客や外国語ユーザーの顧客をはじめ、全顧客が安心・快適に宅急便サービスを利用できる環境を実現する。
ヤマト運輸は、営業所で顧客に応対する社員の提案をきっかけに、2024年からコミュニケーションボードの開発を進めてきた。言語は日本語と英語に対応しており、地域特性や顧客のニーズに応じて、中国語や韓国語など他言語にも対応していく予定。インバウンドの増加や2025年11月に開催される「東京2025デフリンピック」等に合わせ、2025年秋ごろまでに、全国の営業所に導入を予定している。

2024年4月の「障害者差別解消法(※1)」改正に伴い、事業者による障がいのある顧客への「合理的配慮」が「努力義務」から「義務」に変わり、企業は事業を行う上で障がいの有無による提供サービスの制限が発生しないよう取り組むことが求められている。また、インバウンドの増加に伴い、多言語対応の必要性が高まっている。
2024年2月にヤマトグループ中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を策定しました。社会ビジョン「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」を掲げ、社員の人権・多様性を尊重し、エンゲージメントの向上やダイバーシティ&インクルージョンの実現を目指している。
2022年には、障がいのある人の適切なサポートを行うため、日々の業務に即したヤマトグループ独自の「ユニバーサルマナー検定(※2)」を㈱ミライロと共同開発した。ヤマト運輸の社員を対象に受講を開始し、2024年度は約3万5,000名が受講し、通算で約5万8,000名の社員が受講を完了している。
また、外国語ユーザー向けには2024年10月から、ホテルや空港等の観光施設を対象に、4か国語(※3)に対応した専用WEBサイトから、宅急便の送り状が発行できるツールを提供している。
※1:内閣府HP「障害を理由とする差別の解消の推進」
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html
※2:高齢者や障がい者など多様な人々へ向き合うための「マインド」と「アクション」を体系的に学び、身につけるための検定。
※3:日本語・英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語