㈱椿本チエインとKDDI㈱が共同出資する㈱Nexa Ware(ネクサウェア)は3月27日、ロジスティード㈱、三菱HCキャピタル㈱と、「物流倉庫向け遠隔フォークリフト操作システムの事業化」に向けて共同検討することついて合意し、基本合意書を締結した。3社で物流改革を推進し、慢性的なフォークリフトオペレーター不足解消、冷凍倉庫等の過酷な作業環境改善・安全性向上による物流業界の魅力向上等の課題解決に貢献するほか、持続可能な物流の実現を目指すとしている。

遠隔フォークリフトとは、既存のフォークリフトにセンサやカメラ等の遠隔操作ユニットを後付けし、遠隔から操作できるフォークリフトを指す。倉庫にカメラやセンサ等の追加設置が不要なため、すでに顧客が保有しているフォークリフトを有効活用し、早期導入が可能等の特長がある。

今後は、遠隔操作ユニットの開発、実機による操作性・作業性の検証に加えて、冷凍倉庫等の厳しい環境下での運行検証を実施し、付帯サービスを含めた「物流倉庫向け遠隔フォークリフト操作システムの事業化」を目指すとしている。

遠隔フォークリフト操作システム検証機(左)と遠隔操作用モニタ画像

●協業の背景
EC市場をはじめとする物流需要の増加や労働人口減少を背景に、物流業界では労働力不足が喫緊の課題となっており、省人化や生産性向上に向けて倉庫自動化の動きが加速している。その中にあって、荷物の積み下ろしや移動など様々な作業にフォークリフトが利用されており、フォークリフトオペレーターの技能や人員確保が物流倉庫全体の稼働率に大きく影響している。さらに、冷凍倉庫や空調設備のない現場など厳しい作業環境でのフォークリフト作業も多く、作業者の健康管理の面からも作業改善が求められている。そのような状況下、遠隔フォークリフトは過酷な作業環境改善と安全性向上による物流業界の魅力向上、フォーク作業の多様化による雇用対象者の拡大、作業場所と操作場所の制約排除による業務効率向上といった課題解決手段を提供するもの。物流倉庫DXを通じて次世代物流システムの開発、提供に取り組むNexa Wareは、ロジスティードの遠隔操作フォークリフト作業検証による知見と技術検証ノウハウ、三菱HCキャピタルの顧客とのネットワーク力を生かした「物流倉庫における遠隔フォークリフト操作システムの事業化」により、それらの課題解決、持続可能な物流の実現に貢献していくとしている。

●遠隔操作フォークリフトの特長
開発中の遠隔操作フォークリフトは既存フォークリフトに、センサや複数のカメラを後付けすることで、遠隔操作を可能にする仕組み。運転に必要な各操作レバーを遠隔操作するためのアクチュエータも開発し、レバーの加圧力の微調整など遠隔操作でも有人と同じ操作性を実現する。

※フォークリフトの運転には免許が必要

①既存フォークリフトの有効活用
遠隔操作により、複数拠点にある複数台のフォークリフトを倉庫外から操作することが可能になる。また、既存フォークリフトに遠隔操作ユニットを後付けできるため、既存フォークリフトの有効活用と早期導入を実現する。

②オぺレーターの有効活用
遠隔でフォークリフト作業に従事できるため、勤務場所を限定する必要がなく、夜間など人が集まりにくい時間帯でも少人数で運用が可能になる。就労世代・障がい者雇用の拡大にもつながる。

③作業環境の改善
冷凍倉庫や空調設備のない倉庫等の厳しい作業環境下でも、遠隔操作により安心・安全な環境での作業を実現。オペレーターの身体的負担を大幅に軽減する。

④物流現場の業務効率向上
フォークリフト作業が必要な時間帯のみ遠隔操作を指示できるため、時間単位での作業管理が可能。作業対応時間の拡大、オペレーター1人当たりの作業効率向上、人件費削減にもつながる。

●今後の展開
1号機開発、実機での様々な検証を経て、2025年度中の販売開始を目指すとしている。