(一社)日本物流団体連合会(物流連)は1月9日、昨年12月12日に令和6年度第3回「海外物流戦略ワーキングチーム会合」を千代田区の全日通霞が関ビルで開催したことを明らかにした。同会合は物流事業の海外展開に関する課題を官民連携で検討するもので、会員企業や国土交通省から50名が参加した(うち25名がWeb参加)。
今回の第3回目となるワーキングチームでは、少し趣向を変えてインドにおける自動車産業についてスポットをあて、中型2輪車の輸出拠点等も言及し、これから進展するインド産業の現状と今後を現地調査の内容を含めた講演会とした。
第1部の講演会では、㈱フォーイン 企画調査部部長の前田偉康氏を招き、「自動車生産世界4位のインド、小型車のグローバル生産拠点化進む」と題した講演を行われたと報告した。講演会にはワーキングチームメンバー以外も多数聴講し、Web参加を含めて合計93名が参加した。
講演では、はじめにインドの自動車産業全体の順位について自動車販売が2年前に日本を抜き世界3位、自動車生産については、まだ日本の輸出が沢山あるので、世界4位となっていると報告した。
小型車がメインだったインド自動車のトレンドは、SUVへと変化、需要を牽引し、拡大している。中国と比較して人口規模は変わらないものの、1人当たりGDPでは、かなりの差が生じている。ただし、2030年頃にはインド経済も成長し、自動車販売台数も1,000万台を超える可能性が高いほか、中型2輪車の生産拠点については、欧米のバイクメーカーからの委託で中型2輪の生産が多くなっていると説明され、その他、自動車業界の関係者との情報も多くあり貴重な講演会となったと物流連では報告している。
第2部のワーキングチーム会合では、国土交通省物流・自動車局 国際物流室の牧野武人室長から「国土交通省の国際物流政策の取り組みについて」説明がなされた。具体的には、まず輸送容器の標準化について、2024年10月のAPSF(アジアパレットシステム連盟)総会におけるアジア諸国の標準化状況として、日本が官民連携でパレット標準化推進のKPI設定に協力していることや、日中韓では前年度比でパレット標準化が向上したこと等を報告した。また、国交省のパレット標準化推進分科会最終とりまとめとして、2030年までのロードマップと標準化の実現に向けたKPIを設定したことも発表された。
次に、国際物流の多元化・強靱化事業について、中央回廊に関する実証調査に参加する企業が決定(3事業者・5案件)したほか、2024年11月にタイで開催されたESCAP会合で、日本の中央回廊を利用した実証輸送や今後のBCPルート開拓について発表した取り組みを紹介すると共に、多元化・強靱化の後続事業に関する会員アンケート調査への協力依頼があった。
続いて、事務局から10月に実施したアンケート調査の結果を基にインド物流実態調査の項目と希望エリアをまとめ、現在のところ、海外渡航に関する規制も一部地域を除き殆ど無い状況であるため、2025年4月に現地へ出向いて調査を実施する予定であると説明した。