日本パレットレンタル㈱(JPR)は11月12日、同日が「パレットの日」であることにちなみ、社会的に関心の高まる「物流」で重要な役割を果たすパレットに関するデータと最新の動向を発表した。
(一社)日本パレット協会(JPA)は11月12日を「パレットの日」としてパレットの認知向上に取り組んでおり、同社もJPAに加盟している。パレットはごくシンプルな道具だが企業間輸送に使用することにより、トラックドライバーが手作業で荷物を積み下ろしする負荷が軽減できるほか、CO2排出抑制など環境負荷軽減にも効果を発揮。トラックドライバー不足を背景とした「物流2024年問題」に対する社会の関心が高まっているが、パレットはその解決につながるツールとして注目されている。
●「パレットの日」
https://www.jpa-pallet.or.jp/
JPRが提供するレンタルパレットを活用した輸送が増加している。トラックドライバーの労働時間に上限が設定された2024年4月以降、商品輸送等に使われたJPRレンタルパレットは、前年比約6%、約339万2,000枚増加した(2024年4~9月と前年同期間の比較)。
JPRの試算によると、トラックドライバーが荷物の積み下ろしのためにかけている時間を最大約27万時間短縮した計算になる。
物流業界ではトラックドライバーの不足を背景とした「物流2024年問題」への対策が急がれており、レンタルパレットによる輸送はトラックドライバーの長時間労働の削減につながることから導入を検討する企業が増えている。
①2024 年 4~9月のレンタルパレットによる輸送の動向
トラックドライバーの労働時間に上限が設定された2024年4月以降、JPRレンタルパレットが輸送に使用された枚数(※3)は前年に比べ約3,392千枚(約6%)増加した。
※1:レンタルパレット利用者が使用後の空パレットをJPRがまとめて回収している卸売・小売業等のセンター(共同回収拠点)に向けてパレット出荷した枚数
※2:共同回収拠点を除く、利用者間でパレット出荷を行った枚数
※3:※1及び※2の数値を、レンタルパレットを使用して輸送を行っている枚数とみなして集計。※1及び※2の数値は、レンタルパレットの利用者間での受払い(電子化されたパレット伝票の発行と受領)によって把握されている。
②レンタルパレットによるドライバーの荷役作業短縮効果
JPRは実際の物流現場で収集したデータから、パレット輸送による荷役作業の短縮効果を数値化している。その結果によれば、手荷役での積み下ろしをパレットに変更することで、荷物の積み下ろしにかかる時間は、1パレット当たり384秒から95秒へと289秒短縮する。これに、2024 年以降新たに増加した輸送に使われたパレット枚数約339万2,000枚を乗じると、トラックドライバーの荷役時間を短縮した理論上の値が約27万2,000時間と求められる(※4)。
※4:実際には、手荷役からパレット輸送への切り替え以外に、すでにパレット輸送を行っている利用者の利用枚数増加や自社パレットからレンタルパレットへの転換(荷降ろしの時間短縮のみの効果があることが多い)等、多様なケースを含むため、全てが手荷役だった場合を仮定した、効果の理論値となる。
③「物流2024年問題」に対する政策との関係
政府が設置した官民物流標準化懇談会 パレット標準化推進分科会は、「最終取りまとめ」の中で標準パレットの活用によって、標準パレットをレンタル方式で共有しパレット輸送を促進する方向性を示している。また、2024年5月15日に公布された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(改正物効法)の関連においても、具体的な対策の1つとしてパレット輸送の導入が挙げられている。
④直近の動向・見通し
「物流2024年問題」への対応が急がれる中で、レンタルパレットの導入を検討する荷主企業が増えている。一方、実際に導入を行うには倉庫設備等の更新といった設備投資が必要になる場合もあることから、数か月から年単位の時間を要することが一般的。JPRでは今後数年にわたってレンタルパレットの利用増加が起きると予測している。