セイノーホールディングス㈱(セイノーHD)は11月8日、同社がアンカーLPとして参画する「Value Chain Innovation Fund(VIF)」が2023年4月に設立されて以降、スタートアップ企業11社へ投資を実行し順調に運用を行っているが、今回、福山通運㈱が新たなLPとして参画したことを明らかにした。

●新LP
Spiral Innovation Partners LLPがGPとして運営しているVIFに、福山通運が新たに出資した。

セイノーHDと福山通運は2013年3月に業務提携(※1)を開始して以来、様々な連携を進めてきたが、今回、福山通運がVIFに参画することでLPと共に業界全体の課題解決をより一層推進していくとしている。

※1:「大規模災害発生時における相互協力に関する協定」および「エコデリバリーの提供」に関する業務提携を締結した。
https://www.seino.co.jp/seino/news/shd/2022/0426-01.htm

●VIF概要
ファンド名:Value Chain Innovation Fund 投資事業有限責任組合
無限責任組合員(GP):Spiral Innovation Partners LLP
有限責任組合員(LP):セイノーホールディングス㈱(アンカーLP)、㈱日本政策投資銀行、福山通運㈱等
ファンド規模:100億円(予定)
投資領域:物流周辺領域を中心としつつ、荷主企業のバリューチェーン全体への価値提供を行うスタートアップ
投資ステージ:アーリーステージを中心に投資
投資ポートフォリオ:個別企業投資、一部FoF(Fund of Funds)投資
URL:https://seinocvc.com/vif/

VIFは物流周辺領域のスタートアップへの投資を行うLogistics Innovation Fund(LIF)の承継ファンドとして設立した。LIFが投資対象を物流周辺領域に限定しているのに対して、VIFは物流領域を投資対象の中心に置きつつもその川上・川下にも投資領域を拡大することで顧客のバリューチェーン全体への価値提供を行い、顧客の繁栄に貢献することを目指している。

VIFにおける投資領域のイメージ

●出資先と福山通運との事業連携について
LIF・VIFからの出資を通じて、セイノーHDは社内外や業界を問わず共創を進めてきたが、その一環としてLIFの出資先企業である㈱エアロネクストとの事業連携において、福山通運とも中山間地域の共同配送に取り組んでいる。

従来の中山間地域への配送は、各物流事業者が遠方の拠点から個別に配送しており、環境負荷や収益性の面で課題があった。その非効率な配送を解決し、将来の物流インフラ維持を目指すため、各社の配送を集約し車両による配送に加えてドローン配送を活用する新スマート物流「SkyHub」の構築により課題解決を図るもの。

その取り組みは同社や㈱エアロネクストだけで成立するものではなく、福山通運をはじめ物流業界全体が1つのチームとなって推進することが重要と考えている。

セイノーHDは今後も中期経営計画「Team Green Logistics」に基づいたO.P.P.(※2)の概念のもと、サプライチェーン全体において環境配慮を促すため、様々なパートナーとの共創でGreen物流の実現を目指すとしている。

※2:社内外、業種の違いを問わず連携した(オープン)、誰もが使える(パブリック)、物流プラットフォームを構築し、プラットフォームの利用者それぞれの効率化や価値向上、さらにはインフラとして産業・環境・生活への貢献を実現する構想