アスクル㈱は9月5日、環境省が推進する「バリューチェーン全体での脱炭素化推進モデル事業」の個別バリューチェーン支援の参加企業として、構成企業2社と共に決定されたと発表した。

GHG排出量を2050年までに実質ゼロとするカーボンニュートラルの実現のため、大企業のみならず中堅・中小企業も含めたサプライチェーン全体でのグリーン・トランスフォーメーションの取り組みが不可欠とされている。同モデル事業は、環境省がサプライチェーン全体でのグリーン・トランスフォーメーションの取り組みを進めることを主眼におき、自社における排出量(Scope1,2)削減だけでなく、バリューチェーン排出量(Scope3)の削減実現に向け、バリューチェーン全体で連携した取り組みを推進するために実施するもの。

今年度の同モデル事業では、複数主体による取り組みや業界横断での連携モデルを創生し、業界内のデータ連携の促進や後発企業の支援を目的として、業界共通のScope3算定ルールやエンゲージメント方針のガイドライン策定に向けた支援を行う。

●「バリューチェーン全体での脱炭素化推進モデル事業」での実施概要
アスクルは2024年3月にSBT(Science Based Targets)の認証を取得し、SBT目標としてサプライヤーエンゲージメントを掲げている。アスクルのCO2排出量のうち99%がScope3であり、中でも仕入商品(「購入した物品・サービス」)によるものが約7割を占めていることから、この仕入商品由来のCO2排出量の削減に焦点を当てて取り組みを進めている。サプライヤーエンゲージメント目標は、仕入商品のCO?排出量の90%を占める93社を対象にしており、2023年8月からは、CO2排出量算定ツールを活用したScope3削減にサプライヤーと共に取り組んでおり、サプライヤーの排出量の削減努力を反映できる算定方法に変更するため、まずは同社プライベート・ブランド商品の仕入れ先サプライヤーとデータ連携を実施している。

同モデル事業では、アスクルとエンゲージメント対象のサプライヤーである同モデル事業の構成企業2社と連携して、サプライヤーのCO2排出量の算定、目標の設定、削減の取り組みを実施する。モデル事業前半ではScope1,2,3算定方法の研修会等を実施し、構成企業の算定を支援。目標設定に関する個別支援やPB商品1次データ取得のためのツール提供も行う。さらにモデル事業後半では、同社のScope3 に構成企業の算定結果を反映するほか、次年度以降の算定から結果反映までの年間スケジュールを策定できるよう推進する。

構成企業2社との連携をもとに、同モデル事業で得られた知見を、エンゲージメント対象である93社にも展開・拡大する。