キャピタルグッズ・リサーチ&アドバイザリー(CGRA)は12月27日に発行した企業レポートで、12月11日に椿本チエインが埼玉工場(埼玉県飯能市)で開催されたマテハン事業説明会および工場見学会について報告した。

●事業概要
椿本チエインは4つの事業セグメントで構成され、マテハン事業は設備やシステムを扱う事業で、顧客との接触機会が多い。マテハン事業は23年3月期連結売上高の24%を占め、マテハン事業を分解すると、製品搬送(流通・FA・ライフサイエンス・新聞・機器・その他業界向け)システムを扱うマテハン事業が57%、チップ(金属切屑)やスクラップ、食品搬送コンベヤを手がけるメイフラン事業が29%、粉粒体搬送コンベヤ(循環・生産・植物系業界向け)を扱うバルク事業が14%を占める。バルク事業は多彩なバリエーションを武器に、国内サイロ市場で54%、セメントでは57%、バイオマスで40%もの高い市場シェアを有するとしている。

メイフラン事業は、チップコンベヤが21%、スクラップコンベヤは30%の2番手シェアを維持している。マテハン事業はチルトトレイ式ソータが国内シェア約70%、自動車塗装ライン搬送設備は53%、新聞印刷工場向けAGVは89%もの高いシェアを誇ると報告した。

マテハン事業の売上高構成比と主要3事業の売上高構成比

●説明会における3つの注目ポイント
説明会における注目ポイントは、①収益性の改善を目指した差別化戦略を展開、②復活の鍵となる新製品の投入が始まっている、③懸念される北米マテハン事業の現状と対策、としている。差別化戦略としてはIT・AI技術を活用した完全無人化された画像認識や同社独自のシステムインテグレーションビジネスの構築を図りつつ、メンテナンスビジネスの強化および再生医療ビジネスの商品化を目指すとしている。新製品としては、保管機能付きピッキング装置である3次元マテハンシステム「T-AstroX」をはじめ、ユニークな製品投入を強化している。北米マテハン事業に関しては、ガバナンスおよび収益性の強化を目的にUSTMを設立すると共に日本のマテハン事業部との連携強化等を通じて、収益性の早期回復を目指す方針だとレポートした。