三井倉庫ホールディングス㈱(三井倉庫HD)は1月5日、古賀博文代表取締役社長から三井倉庫グループの全従業員に向けた年頭挨拶を発表した。

三井倉庫HD・古賀博文代表取締役社長

●三井倉庫グループ 古賀グループCEOの2024年年頭挨拶
皆様、明けましておめでとうございます。新年を迎えるにあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

【私達の今】
まず当社グループの直近の業績についてです。

当中間期におきましては前年同期比減収減益となりましたが、オペレーションの効率化や収受料金の適正化等の取り組みを継続しているお蔭で、厳しい状況の中でも計画通りの利益を確保できています。これは本当に皆様の日頃の様々な取り組みのお蔭です。本当にありがとうございます。

これまで業績を押し上げていたサプライチェーンの混乱に起因する特殊要因が、今期はほとんど無くなったことからこのような結果となりましたが、グループとしての稼ぐ力は確実に強化されています。

また事業ポートフォリオの幅が拡大したことで、良い意味でリスクが分散され、ある分野が一時的に落ち込んだとしても、他の分野がそれをカバーする等、グループとしての総合力が着実に底上げされてきていることを実感しています。我々を取り巻く事業環境の変化は非常に激しく、もはやその変化についていくだけではさらなる成長は望めません。

これからは私たち自らが変化を創り出し、そこで少しでも他をリードしていかなくてはなりません。これまでの私たちの努力を無駄にしないためにも、「健全な危機感」と「自信とスピード感」を持ち、成し遂げてきた成果をさらに深化・発展させていきましょう。

【私達の強み】
次に私達の強みについてお話したいと思います。

これからの物流は「分散」がキーワードになると私は感じています。サプライチェーンを脅かす様々なリスクが増えている中で、お客様は輸出入の相手先、物流拠点、輸配送ルート等を分散化、複線化しようとする傾向にありますが、この状況は私達にとって大きなビジネスチャンスになっています。

業務品質に加えてBCPや環境課題への対応といった、これまで当社グループが積極的に取組んできた提案型のサービスが非常に重視されるようになってきているからです。

まず環境課題への対応で言えば、「SustainaLink(サステナリンク)」への引き合いが非常に増えていることからも、この分野への対応が多くの企業において喫緊の課題であることが良くわかります。

サプライチェーンにおけるCO2の排出量を算定するサービスが非常に好評ですが、それを切り口に実物流を取込む事例も増えており、これからもますますその需要は高まると感じています。

また提案型のサービスとしては、三井倉庫ロジスティクスが進めている「テクニカル・ロジスティクス」も、暮らしや社会をより良い方向に進めていく物流プラスアルファのサービスと言えます。

生活に密着したサービスを提供していることからも、私達のパーパス(存在意義)である「社会を止めない。進化をつなぐ。」を体現する重要な業務の1つであることは間違いありません。

業務品質の面から言えば、DXの推進とオペレーションの標準化による効率化も私達の大きな強みになり得ます。いくら優れた機器やツールがあっても、それを使いこなすためには人の力とテクノロジーを、高い次元で融合させる必要があることは以前から述べている通りです。

標準化されたオペレーションをDXによってさらに高度化、効率化させることで差別化を図り、厳しい競争に勝ち残っていきたいと思います。

総合物流企業グループとして進めてきたこれらの強みと、世の中の潮流とがマッチしてきている現在、私達の強みをさらに伸ばしていくことで積極的に活躍の場を広げていきましょう。

【私達の成長】
このように私達には様々な強みがありますが、真の成長を実現するために必要なピースがさらに存在します。まずは、「共創とパートナーシップ」です。

ここ数年、対外発表事例に、業種を問わず、様々なパートナー企業との協業案件が非常に増えてきています。

企業も人と同じく、単独でできることには限りがあり、ましてや全ての分野で高い専門性が求められる現在では、優れた知見や機能を持つパートナーと協力し合うことは合理的です。

自らを高い次元に進化させるためにはこれからも積極的な共創とパートナーシップの構築が必要です。そして、そこで得た成果を次の成長エンジンに育てていきたいと考えています。

次は私達の価値創造の源泉である「人材」です。私は当社グループを、「全ての従業員が自らの能力を最大に発揮できる企業グループにすること」を、自らの大事なミッションの1つと考えています。

装置産業化が進む物流業界において差別化を可能にするのは、つまるところ「人」です。

昨年、業務改善コンテストの中に、MSP部門、モスト・サポーティブ・パーソン部門を新設したのも、従業員同士が互いを尊重し認め合い、お互いの成長につながることを期待しているからです。

人が強くなることで組織も強くなり、それが結局は当社グループの持続的な成長を実現する礎になっていくと考えています。

最後に「グループ理念の浸透」です。制定後1年半が過ぎましたが、日頃の業務の中で常に意識し続けることはなかなか難しいかもしれません。そのために昨年、グループの管理職を中心に理解を深める研修を改めて行い、その後各職場における展開を実施してもらいました。

グループ理念が浸透し、企業文化として定着した時、当社グループの持続的成長の可能性が一段と高まるものと確信しています。

【私達のこれから】
最後に皆さんに改めてお願いしたいことを申し上げます。

「未来を描き、動き動かし続ける人」これは昨年4月にこれからの当社グループを担う人材の採用・育成の基本方針として策定した、当社グループが求める人材像を表す言葉です。

物流のプロフェッショナルでありながら、お客様のビジネス全体、そして世の中への深い理解と洞察力を持ち、その未来を一緒に描く。

その実現のために、主体的に動き、周囲を動かし、物流を動かし、お客様の心まで動かしていく、という想いが込められています。

ぜひ、皆様1人ひとりが少しでもこの人材像に近づけるように、そしてそれ以上の存在になれるように意識していただきたいと思います。

そして、私達のパーパス(存在意義)である、「社会を止めない。進化をつなぐ。」です。

私達を取り巻く環境はこれからも激しい変化を続けていくでしょう。しかし、これまでがそうであったように、これからも社会を止めないことの責任と誇りを、胸に持ち続けて欲しいと思います。

そして、世界をより良い方向に動かし、心豊かで持続可能な社会を実現するため、物流の未来を見据え、本年もグループ一丸となって進んでまいりましょう!