(一社)日本物流団体連合会(物流連)は1月1日、真貝康一会長の2024年の年頭挨拶を以下の通り発表した。

物流連・真貝康一会長

●年頭挨拶
新年あけましておめでとうございます。2024年の年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。

昨年は、ロシアによるウクライナ侵攻は終息が見えず継続する一方、10月にはイスラエルとハマースの間で戦闘が発生するなど国際情勢の不安定化が増すなかで、インフレ抑制に向けた欧米の中央銀行による金融政策の引き締めは継続し、世界的な景気上昇が見通せない状況となっています。

国内に目を転じますと、新型コロナウイルス感染症が5月に5類に移行し様々な規制が緩和されたことにより経済活動が活発化したこと、また様々物価が上昇した一方で賃金も上昇したこと等により、景気の底堅い成長がみられた年でもありました。

我々物流業界においては、「物流の2024年問題」をはじめとする労働力不足やカーボンニュートラルへの対応等、様々な課題に直面した1年でありました。それらの課題に対応し、今後も物流の持続的成長を実現するため、関係閣僚会議において6月には「物流革新に向けた政策パッケージ」が、続いて10月には「物流革新緊急パッケージ」が決定される等、国においては様々な取り組みを決定し、実施に移して頂いてきました。

このようななか、物流連でも様々な活動を実施してまいりました。

まず「物流を等身大で社会一般から見ていただく活動」として、会員企業のご協力のもと学生を対象とした物流業界セミナーやインターンシップを開催したほか、大学での寄付講座や学内セミナーにおいても、より多くの学生に「リアルな物流業の実態と物流業の重要性」を認識してもらう機会を増やしました。

またコロナ禍により中止していた「物流見学ネットワーク」については、会員企業のご協力を頂き情報をリニューアルした上で10月より受け入れを再開し、また一般紙に意見広告を掲載する等、人材育成と広報活動の強化を継続しました。

また「国際的な課題への取組み強化」では、今年はベトナムに焦点を当て調査を行い、コロナ禍以来中止していた現地に赴いての実態調査を実施しました。

「物流環境対策への取組み」では、「物流環境大賞」及び「モーダルシフト取組み優良事業者賞」に多数の応募をいただき表彰を行い、脱炭素社会に向けた取り組みを社会に公表しました。また、物流分野における低炭素・脱炭素推進に向けた情報交換会を引き続き開催し講演会を行ったほか、初めての物流施設の見学会を10月に行い、国や産業界のカーボンニュートラルに向けた動向の把握を行ってきました。

「物流の2024年問題」だけでなく今後の少子高齢化が不可避な日本において、今後も物流の持続的成長を実現するためには、まさに抜本的な「構造改革」が喫緊な課題となっています。

これを実現するためには、業界全体で一体となり様々な取り組みを協力して進めると共に、国をはじめ荷主・物流事業者・一般消費者等関係者すべてが協力して取り組んでいく必要があります。

物流連としても、人材の確保や効率化を進めるための標準化を推進するほか、物流業界が抱える様々な問題について、荷主・消費者等一般の皆様に知っていただき理解していただく取り組みを、国と連携して積極的に進めていく所存です。

新しい年を迎えるにあたり、本年が物流業界にとり飛躍の年となること、そして物流の現場での安全を祈念し、皆様のご支援とご協力をお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。