三井倉庫ホールディングス㈱(三井倉庫HD)は11月6日、自動車部品の国際物流におけるパーツ単位でのGHG排出量を可視化する新たな物流CO2算定サービスを開始することを決定し、同算定サービスの提供先である豊田通商㈱との間で業務委託契約を締結した。
豊田通商が提供する商物一体となった最適サプライチェーン構築事業と、同社の脱炭素ソリューションサービスを組み合わせた同算定サービスを活用し、物流におけるカーボンニュートラルに向けた様々な取り組みを両社は今後一層推進していくとしている。
●サービス開始に至った背景と目的
気候変動への対応として世界中の多くの企業がカーボンニュートラル目標を掲げ、様々な取り組みを行っているが、各企業は自社のCO2排出量(Scope1, 2)のみならず、物流領域を含むサプライチェーン全体のCO2排出量(Scope3)の算定・報告・削減が今後ますます求められる。
三井倉庫HDは2021年10月に物流が抱える環境・労働力・災害等のリスクに幅広く対応したソリューション「三井倉庫SustainaLink(※1)」の提供を開始し、国内・国際輸送で発生するGHG排出量を精緻に算定する「物流GHG排出量算定サービス」を通じて、顧客のカーボンニュートラルに向けた課題解決に取り組んでいる。
これまでに算定を実施したデータ数は約400万件(2023年9月末現在)に及び、さらにGHG排出量削減に向けた具体的なソリューションも提供してきた。直近では、同算定サービスを日系物流企業としては初めてISO14083:2023に対応させ、より信頼性の高いGHGデータの提供を可能としている。
一方、豊田通商はサプライチェーンを『繋ぐ、強くする、創る』ための情報やソリューションをタイムリーに顧客に提供するためのオンラインプラットフォーム「Streams」(ストリームス)の提供を通じて、従来から展開している商物一体となった国際一貫物流「VtoVサービス(※2)」に最適在庫管理や災害時業務継続など様々な付加価値を提供してきた。
そのような背景のもと、豊田通商がグローバルに展開する商物一体となった自動車部品の最適サプライチェーン構築事業と、三井倉庫HDの物流GHG排出量算定サービスを戦略的に組み合わせて、世界初のサービスとして、パーツ単位での物流におけるGHG排出量を可視化した新たなグローバルサプライチェーンサービスの提供を開始するとしている。
●本サービスの概要・特徴
本サービスの概要・特徴は以下の通り。
・豊田通商が「VtoVサービス」を通じて輸送部品の製品情報、梱包情報、発着地情報を作成
・上記の情報を元に当社がISO14083:2023*3など国際標準規格に適合した精緻なGHG排出量を算定
・部品の重量や容積を考慮した配分を実施し、部品1点あたりのGHG排出量レポートを作成
・顧客の要望に応じて三井倉庫HDと豊田通商が共同で排出傾向の分析や排出量削減提案を実施
顧客は自社で算出したGHG排出量と本サービスで可視化した物流GHG排出量を合算することで、製品のライフサイクルで発生するGHG排出総量(Scope3)を把握できるほか、三井倉庫HDおよび豊田通商の持つ物流ノウハウおよびグローバルネットワークを活用し、モーダルシフトや共同配送を始めとする様々な排出量削減ソリューションを利用することが可能となる。
※1:SustainaLink(サステナリンク)
三井倉庫グループの豊富な物流ノウハウを生かし、環境、労働力、災害にまつわるリスクに対応した幅広いメニューを提供するサービス。顧客が抱えるそれぞれの課題に応じた物流リスクの見える化や改善を通じて、サステナブルな物流体制の構築を支援する。
※2:VtoVサービス
豊田通商の提供するグローバルに供給網を持つ、商物一体となった国際混載物流サービス。最適在庫管理や災害時業務継続など様々な付加価値を提供。
※3:ISO14083:2023
2023年3月に発行された、旅客および貨物の輸送チェーンにおける温室効果ガス(GHG)排出量の定量化および報告に関する国際規格。