三星金属工業㈱と㈱サトーは10月26日、QRコード(※1)と位置測位技術を用いて、車両の受付業務の省力化やバース(トラックが荷物の積み降ろしを行う場所)の利用状況を可視化することにより、ドライバーの待機時間を短縮するシステムを構築、導入先の三星金属工業でドライバーの待機時間を年間1,000時間(※2)削減したと発表した。
“物流2024年問題”に取り組む同システムは、(一社)日本自動認識システム協会が主催する「第25回 自動認識システム大賞」で入選した。
2024年4月から法令上ドライバーの労働時間規制が厳格化され、人手不足の深刻化により輸送量が減少する“2024年問題”への対応が迫られている一方、ドライバーの待機時間は平均で1時間18分にのぼり、1日の拘束時間全体の1割を占める(※3)など長時間労働の要因となっている。かねてより繁忙時のトラック待機時間を課題視していた三星金属工業は、荷主側もドライバーの労働環境改善を図ることが必要と考え、2022年6月、工場へ同システムを導入し、次の3つの取り組みを通して年間1,000時間のドライバー待機時間を削減した。
①受付業務の省力化
トラックは、ID情報を保有したQRコードのラベルを車両に貼り付け、入退場時に固定スキャナの前を通過するだけで受付は完了する。従来ドライバーが下車し、手書きで行っていた業務を省力化した。
②バースの状況をリアルタイムに可視化
入場したドライバーへ位置情報を取得するタグを配付。タグはIDとひも付いており、「どのトラックがどのバースを利用しているのか」等、状況がリアルタイムに可視化される。長時間滞在している車両のアラートを作業員の管理画面に表示することで、時間がかかってしまっている要因を知り、対処を迅速に行うことができるため、バースの回転率向上につながる。さらに滞留時間の分析により、レイアウトや運用改善にも活用していく見込み。
③可視化した作業時間の実績をもとに、トラックの受付を到着順から予約制の運用へシフト
従来は到着順にトラックを受付け、ときに180分も待機させてしまうことがあった。同システムでトラックの作業時間も可視化されたため、その情報をもとに予約管理をする運用にシフト。来場車両の分散化に加え、工場側も予約に合わせ出荷準備ができるようになった。
※1:「QRコード」は㈱デンソーウェーブの登録商標。
※2:2022年6月~2023年4月の三星金属工業における実績。
※3:出典:国土交通省・公益社団法人全日本トラック協会「2024年問題 待機時間・附帯業務の適正化推進に係るリーフレット」(2023年3月)より。