(一社)日本物流団体連合会は9月26日、全日通霞が関ビル(千代田区霞が関)で令和5年度第1回物流環境対策委員会(委員長:日本貨物鉄道㈱ 取締役兼常務執行役員 経営統括本部長 篠部武嗣氏)を開催した。

同委員会は物流の低炭素・脱炭素化や効率的な輸送システムの構築等、物流分野の環境対策の促進を目的として、諸課題の検討や情報提供を行っている。また、有料事業者・優良事例の表彰等を通じ、環境対策の普及促進に取り組んでおり、年2回対策している。

令和5年度第1回委員会では、まず第1部として講演会を実施し、第2部で上期活動報告と下期活動内容を審議した。

第1部の講演に先立ち、物流連の主催する「第24回物流環境大賞」で大賞を受賞した㈱フェリーさんふらわあ 取締役の堀内啓介氏より挨拶があり、親会社の㈱商船三井が講演するに至った経緯を説明した。元来、同講演は大賞受賞した企業が行うが、受賞案件である日本初のLNG内航船「さんふらわあ くれない」は商船三井が開発所有、フェリーさんふらわあが運航を担っており、グループ全体の環境マネジメント説明であれば商船三井社が適任と今回特別に講演を引き受けた。

会場全景とオンラインで挨拶する堀内氏

講師は同社ウェルビーイングライフ営業本部 フェリー・関連事業部 スペシャリストの中村正史氏が務め、フェリー事業に10年以上携わる同氏から「さんふらわあ くれない」の開発の経緯、意義、今後の取り組み等を話した。最新鋭のフェリーを就航したことは若い人への訴求力アップにつながり、船員の獲得への足がかりになったという望外の成果があった一方で、内航海運はコスト回収が難しい市場環境であり、コスト転嫁に苦慮していること等、デメリットも交えて分かりやすく説明した。また、外交海運として直面している、カーボンプライシングやEU‐ETS(欧州排出権取引制度)にも話が及び、「環境」が重要政策となっている欧州の情勢にも触れるよい機会となった。

講演を行う中村氏

第2部として開催された委員会では、年に2~3回開催している「物流分野における低炭素・脱炭素化推進に向けた情報交換会」において、荷主企業を招いて意見交換、物流施設の見学会といった新たな試みを行っている旨を説明した。委員会で取り扱っている「物流環境大賞」「モーダルシフト優良事業者表彰」「グリーン物流パートナーシップ会議」の各種表彰制度を今後も鋭意継続するほか、情報交換会のさらなる内容の充実を提言し、令和5年度の下期動計画(案)は原案通り承認された。

議事進行の篠部委員長

次回の委員会は来年3月頃の開催を予定している。