三井倉庫ホールディングス㈱は9月28日、同社グループの提供する物流CO2排出量算定サービスがISO 14083:2023(※1)への対応を完了し、同サービスの算定および報告方法が同規格に基づき適切に設計されている点について日系物流企業として初めて第三者評価機関(DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン㈱)より妥当性評価(※2)を取得したと発表した。

●今回受領した妥当性確認意見書
https://www.mitsui-soko.com/-/media/pdf/msh/news/2023/20230928?_gl=116fcy54_gaMTgxNjk1NzM2Ni4xNjkwNDgyMTI2_ga_R9V647079P*MTY5NjExNzIzMy43LjEuMTY5NjExNzIzOS4wLjAuMA..

気候変動への対応として世界中の多くの企業がカーボンニュートラル目標を掲げ、様々な取り組みを進めているが、自社のCO2排出量(Scope1, 2)だけではなく、物流領域を含むサプライチェーン全体のCO2排出量(Scope3)の算定・報告・削減が今後ますます求められる。

同社グループは2021年より顧客のサプライチェーン上の物流サステナビリティ課題を解決するサービス 「SustainaLink(サステナリンク)」の提供を通じて、顧客の物流領域のCO2算定ニーズに応えるため、 共同ガイドライン(※3)やGLECフレームワーク(※4)等、 国内外で広く認知されたガイドラインに準拠した物流CO2算定サービス「MS CO2 Analyzer」を展開。これまでに算定を実施したデータ数は約400万件(2023年8月末現在)に及び、さらにCO2排出量削減に向けた具体的なソリューションも提供してきた。

これまで物流領域におけるCO2排出量については、国や企業ごとに様々なルールで算定・報告が行われていたが、 サプライチェーンがグローバル化する中で正確なCO2排出量を算定するための統一的なルールの必要性が議論されてきた。 これを受け、物流CO2排出量の算定および報告に関する国際規格ISO 14083:2023が2023年3月に発行された。今回、同社グループは本規格に準拠することでより信頼性の高いデータの提供を可能にし、顧客の物流領域のCO2算定ニーズに応えていくとしている。

●物流CO2排出量算定サービスについて
同社グループは顧客の物流活動から排出されるCO2量の算定について、簡易算定が可能な「MS CO2 Navigator」と、 より詳細な算定が可能な「MS CO2 Analyzer」の2種類の可視化サービスを開発・提供している。これら2つのCO2可視化システムは環境負荷低減に資する先進的な技術と評価され、(一社)日本物流団体連合会が主催する2023年の第24回物流環境大賞表彰で「先進技術賞」を受賞している。

●MS CO2 Navigator
発着地点、輸送重量、輸送モードを入力することにより、1輸送レコード単位でのCO2排出量を簡単に算定できるほか、輸送モードごとに排出量が可視化されるため、容易に比較することができる。なお、同サービスは物流CO2排出量算定のお試し版として同社WEBサイトから無料で利用可能としている。

●MS CO2 Analyzerr
グローバルサプライチェーンにおける物流データについて複数/複合輸送モードのCO2排出量を一括で算定できるほか、算定結果と物流データを組み合わせることでCO2排出量削減のためのソリューションを提供している。

※1:ISO 14083:2023
2023年3月に発行された、旅客及び貨物の輸送チェーンにおける温室効果ガス(GHG)排出量の定量化及び報告に関する国際規格。

※2:妥当性評価
GHG算定の妥当性確認・検証に関するルールを定めた仕様・手引きであるISO14064-3に基づいた妥当性評価を取得している。

※3:共同ガイドライン
ロジスティクス分野におけるCO2排出量算定方法 共同ガイドラインVer.3.2(経済産業省・国土交通省、2023)

※4:GLECフレームワーク
Global Logistics Emissions Council (GLEC) Framework for Logistics Emissions Accounting and Reporting Version 2.0(Smart Freight Centre、2019)