(一社)日本物流団体連合会は6月2日、次期会長に、日本貨物鉄道㈱(JR貨物) 代表取締役会長兼会長執行役員の真貝康一氏が就任すると発表した。

本年6月27日に開催予定の令和5年度定時総会終了時に就任する予定。

池田潤一郎物流連会長
次期会長に就任予定の真貝康一氏(日本貨物鉄道㈱ 代表取締役会長 兼 会長執行役員)

●会長交代に関する池田潤一郎現会長談話
令和3年6月、新たな総合物流施策大綱が閣議決定され、時を同じくして当連合会の会長に就任し、間もなく2年が経過しようとしております。振り返りますと、コロナ禍に加えロシアによるウクライナ侵攻によりグローバルサプライチェーンの混乱が加速し、物流を止めないことに注力した期間でした。

大半はコロナ禍の中での活動となりましたが、ウエブの利便性を生かし、結果としてより多くの方にご参加いただける「新しいかたち」の活動が定着した2年間でもありました。

物流連会長として一貫して発信してきたのは、我々物流事業者にとって最も大切なことは、「安全な輸送を通じ、人々の生活を支える様々な生活必需品や物資、エネルギーなどの輸送を絶やさず、安定した輸送を提供し続けることでグローバル経済や社会の持続的成長を支えることにある」ということです。そのためには「安全」、「生産性の向上」、そしてこれを支える「人」がカギを握ります。

物流の根幹となる安全については講演会を中心に安全に役立つ情報や意識の醸成につとめ、物流効率化については、官民物流標準化懇談会の場で物流現場が直面する課題や問題について発信、共有し、官民が一体となって取り組んでまいりました。また、学生に対する取組として「寄附講座」や「物流業界インターンシップ」、「物流業界研究セミナー」、を会員各社と共同で実施し、数多くの大学生に参加していただきました。この活動を今後も継続し、学生に物流の現場を知ってもらい、物流業界を志望してもらえることを期待しております。

昨今、テレビをはじめ各種メディアで「物流の2024年問題」が取り上げられております。国では「物流の革新に関する関係閣僚会議」が開かれ、スピーディな対策を講じるように議論が展開され始めております。効率化に向けた標準化への取組をはじめ、なによりも物流が魅力ある業界であることを物流団体の枠を超えて、そして官民が連携しながら伝えていく活動を次期会長に就任される真貝康一氏に託したいと思っております。

あらためて在任中の会員の皆様及び国土交通省ほか関係機関のご協力に感謝申し上げるとともに、新体制に移行する当連合会に対し、引き続き温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

●会長就任に関する真貝康一新会長談話
物流連第12代目の会長に就任することになりました日本貨物鉄道㈱の真貝です。池田会長の後任として、深刻な労働力不足やカーボンニュートラルへの対応など物流業界が直面する諸課題の解決に資する活動を進めていきたいと考えております。以下いくつか所信を申し述べます。

1点目は、「物流を等身大で見ていただく」取り組みの継続です。これまでの験を基に、特に若い世代に向けて、物流業が果たしている重要な役割、物流業の魅力、やりがいなどを、方法も工夫し発信していきたいと考えています。また、特に、2024年4月からのトラックドライバーの労働時間規制強化を目前にして、荷主様や一般消費者の方等に向け、物流を取り巻く厳しい現状に対するご理解とご協力を求めていくことも重要と考えています。

2点目は、「社会インフラとしての物流機能の強化」を図る取り組みです。陸海空共通の労働力不足等に対応して、官民協働でデジタル化や物流標準化・自動化等を進めて生産性の向上を図るとともに、高齢者や女性など多様な人材が活躍できる就業環境の整備を促進するなど、物流事業の機能強化に取り組みたいと考えています。

3点目は、「物流分野の環境対策」の取り組みです。環境負荷低減への取り組みを奨励し、物流分野のカーボンニュートラルを推進することが重要です。引き続き、好事例を広く関係者で共有しヨコ展開していく取組みなどを継続し、物流環境大賞やモーダルシフト優良事業者表彰などの表彰制度を実施していきます。

4点目は、「物流事業者の海外展開の支援」についてです。多くの物流事業者が海外での活動を拡大するなかで、各国における事業遂行の円滑化や、有事の際のサプライチェーンの多元化・強靭化が共通課題となっています。引き続き、会員間の情報共有や官民連携を図り、アジア各国の物流事情の調査などを進めます。

物流が厳しい状況にあることについて荷主様や一般消費者の方のご理解が進みつつあり、国において関係閣僚会議が設置されるなど、政府を挙げて我が国の物流の革新に向けて取り組む態勢が構築されております。物流連としても、このような動きを追い風として、我が国の物流を持続可能なものとしていくため、会員企業・団体など物流業界はもとより、様々な荷主業界や一般消費者の方、国を始め関係先の皆様と緊密に連携・協力しながら諸活動を進めていきたいと考えております。

皆様方の絶大なるご協力をお願いし、ご挨拶とさせていただきます。