米国RENATUS ROBOTICS Inc.は5月15日、EC物流BPO事業を展開する㈱イー・ロジットより100万米ドル(約1.4億円)の資金調達を実施した。

今後両社はイー・ロジット社のセンターへの「RENATUS(レナトス)」導入等、具体的な協業に向けた検討を進める。

●資本提携の概要
イー・ロジットの持つ物流事業のノウハウと、RENATUS ROBOTICSの持つ技術力を掛け合わせることにより、日本国内における「RENATUS」の展開の加速を狙いとした本格的な業務連携の検討を進めていくとしている。

両社は業務提携の足掛かりとして、イー・ロジットのフルフィルメントセンターにおいて自動倉庫システム「RENATUS」の導入を予定している。

左より、RENATUS ROBOTICS 代表取締役 CEOの大澤琢真氏、イー・ロジット 代表取締役社長 CEOの角井亮一氏

●RENATUS ROBOTICS 代表取締役 CEOの大澤琢真氏のコメント
RENATUSは超高効率な自動倉庫を提供するスタートアップです。アカデミア最先端のAI・ロボティクス技術を物流に応用し、いまだかつてない効率の自動倉庫を実現しました。今後、作業者
によるピッキングや入出荷の検品などの前後工程にも、保有する技術を応用した「完全無人自動倉庫」を目指し、より効率的な倉庫を実現します。

今回、多様な現場のオペレーションのノウハウを持つイー・ロジット社から協力を得て、弊社の「RENATUS」を活用した超高効率な自動倉庫サービスの導入及び運用をまずは国内センターから進めています。経験豊富なイー・ロジット社とのタッグで2024年問題の解決策となるようなソリューションを国内外に向けて展開していきます。

●イー・ロジット 代表取締役社長 CEOの角井亮一氏のコメント
働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、ドライバーの年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されます。いわゆる2024年問題です。これにより、荷物配送サービスの提供が大きく制限される可能性が出てきました。またこれ以外にも、慢性的な人材不足や資源価格高騰により、物流業界全体が既存の収益基盤を大きく揺るがす事態に発展しております。物流業務を行
う上で、「AI」や「自動化」への投資、また「自動倉庫システム」の導入は、物流業界全体にとって今後欠かす事の出来ない重要な要素となります。

当社もRENATUS社の協力を得て、この度本格的な「AI自動倉庫システム」の導入を進めることになりました。同社のシステムが持つ「ワンストップ梱包システム」により、作業生産性の向上や倉庫活用の高密度化や大幅コスト削減が見込まれ、高いROIの倉庫を実現することができます。ぜひご期待下さい!

●本提携の背景
(1)2024年問題への対応
2024年問題とは、働き方改革関連法の施行により、2024年4月1日以降、自動車運転業務の労働時間が厳格化されることで発生する問題の総称。EC需要が急速に拡大する一方、労働時間の制約が加わり、物流業界における人手不足の問題が深刻化することが予想されている。

(2)AI技術の台頭
昨今、OpenAIの提供するChatGPT等のLLM(大規模言語モデル)をはじめとしたAI技術が脚光を浴びており、物流業界でもAIの実用化に向けた大きな期待が寄せられている。RENATUS ROBOTICSはMicrosoft for Startupsに採択され、Azure OpenAI Serviceを活用したプロダクト開発を進めているほか、自動倉庫内のロボットの同時制御アルゴリズムにAIを活用している。

●今後の展望
将来的には、ピッキング・集約・梱包作業の効率化に止まらず、アームロボットによるピッキング自動化や、自動運転技術を活用したトラック運搬の自動化、ドローン配送の技術を実装し、完全自動倉庫の実現と、「RENATUS」の多拠点展開によるグローバルな物流ネットワークの構築を目指すとしている。