経済産業省、国土交通省、農林水産省の3省は4月27日の第8回「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で、トラック輸送における多重下請構造の実態把握調査に係る調査結果を発表した。

同調査は、トラック業界における多重下請構造の是正や契約条件の明確化を図るため、多重下請の現状や契約と実際の業務内容の関係を調査するため、①トラック事業者向けアンケート、②荷主、実運送事業者、利用運送事業者ヒアリングを実施したもの。

①トラック事業者向けアンケートは、(公社)全日本トラック協会を通じて会員企業に対して実施したもの。実施期間は令和5年2月7日~同年4月7日、回答者は4,401名。調査項目として、荷主や元請事業者等との関係性、下請事業者との関係、発注手段や契約の書面化等の状況の3つのポイントを調査した。

その結果、下請の利用状況については、7割の事業者が下請のトラック事業者を利用していると回答し、下請金額は受託金額のおおむね9割以上で委託していることが判明。下請のトラック事業者を利用する理由として、「自社のトラックドライバーが不足」、「荷主からの突発的な運送依頼」という回答が多かった。

下請構造については、中小零細事業者ほど3次請け以上となっている割合が多くなる傾向(資本金1,000万円以下で約15%)で、事業者数ベースで見るとより多くの事業者が3次請け以上になっている可能性も判明した。

一方、②荷主、実運送事業者、利用運送事業者は計14事業者に対してヒアリングを実施した。多重下請については、以下の意見があった。
・下請は、あるとしても基本的に3次下請までというのが肌感覚。(実運送事業者)
・下請が連なると、細かい作業指示が通らなくなり、トラブルが発生することがある。(荷主事業者)
・荷主の視点では、輸送の品質を鑑みて、どの事業者が運んでいるのかという点は把握しておきたい。(荷主事業者)
・積載率を高めるため、帰り荷の確保に努めようとすると、実運送をしない利用運送事業者に委託することになり、そこで必然的に下請構造が発生することになる。(利用運送事業者)
・実運送まで100%把握するように努めているが、実運送をしない利用運送事業者に依頼すると、それ以降の把握が難しい。(利用運送事業者)
・1つの運行には、主たる下請事業者の他、単発の庸車もあるので、それらも把握するとなると作業コストが高い。(実運送事業者)
・実運送事業者の情報については、事業者やトラックの情報だけでなく、荷待ち時間等も報告してもらい、荷主との価格交渉等に活用している。(実運送事業者)

●調査結果詳細
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001603960.pdf