㈱日立製作所は1月30日、産業用ロボットを活用したラインビルディング事業(ロボティクスSI(※1)事業)のグローバル展開を加速しており、日本およびASEANでのさらなる事業強化に向けて日立のインダストリアルデジタルビジネスユニットのグループ会社である㈱日立オートメーションとKyoto Robotics㈱を2023年4月1日付で合併すると発表した。

日立オートメーションのロボティクスSI
Kyoto Roboticsの知能ロボットビジョンシステム

日立オートメーションは、2022年4月にインダストリアルデジタルビジネスユニットの傘下で事業を開始(※2)以降、日立が手掛けているLumada(※3)を活用したデータの分析・最適化を行うデジタルソリューションと、膨大な現場データが集まるロボティクスSIの融合を加速してきた。2021年4月に日立が買収したKyoto Robotics(※4)は、2000年の創業以来、製造、ロジスティクス分野の完全自動化をめざして、人間と同じように物体を3次元ビジョンで99.99%(※5)の精度で「認識」し、AIを活用した制御システムで「考えて、運ぶ」、ティーチング(※6)やマスタデータ(※7)が不要な知能ロボットビジョンシステムの開発・提供を行ってきた。その高い技術開発力によって、幅広いロボットメーカーとのパートナーシップを有している。

今回の合併により、日立オートメーションの持つ製造、ロジスティクス分野におけるロボティクスSI事業のフロント・エンジニアリング力と、Kyoto Roboticsの持つ知能ロボットビジョンシステムの差別化技術、さらに日立のインダストリアルデジタルビジネスユニットが有するOT(※8)・IT領域のデジタルソリューションや研究開発グループの持つ開発力を組み合わせて、自動化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する製造・物流業の顧客への総合提案力の拡充を図るほか、国内のロボティクスSI事業に関する顧客基盤やノウハウ、人財等のリソースを集約することにより、営業および開発の機能を強化し、高効率な事業運営を行う。今後、日立は北米・欧州を中心にロボティクスSI事業を展開するJRオートメーション社との連携をさらに強化して日立オートメーションのフルターンキー提供能力を拡充するほか、デジタル技術を融合したソリューション提案を強みに顧客の課題解決に貢献し、ロボティクスSI事業のグローバルリーダーを目指すとしている。

※1:SI:Systems Integration

※2:2022年1月27日発表の日立および日立産機システムニュースリリース「日本およびASEANにおけるロボティクスSI事業の強化に向けた「日立オートメーション」の発足について」

※3:Lumada:顧客のデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。

※4:2021年4月8日発表の日立ニュースリリース「日立が知能ロボットシステム開発のスタートアップ企業Kyoto Roboticsを買収」

※5:単載デパレタイズの場合。Kyoto Roboticsの指定環境、選定された箱における能力値。

※6:ティーチング:プログラミングによって目的の動作が行えるよう、ロボットに教え込むこと。

※7:マスタデータ:事前に登録しておく、対象物の重さや大きさ等の情報。

※8:OT(Operational Technology):制御・運用技術

ロボティクスSI事業における体制強化

●合併後の概要(2023年4月1日予定)
社名:㈱日立オートメーション
本社所在地:東京都千代田区外神田一丁目5番1号
代表者:代表取締役社長 佐竹英夫
資本金:3億円
従業員数:約250名
事業内容:製造、ロジスティクス分野向けロボティクスSI事業、知能ロボットビジョンシステムの開発・販売