三井倉庫ホールディングス㈱(三井倉庫HD)は1月1日、古賀博文代表取締役社長による年頭挨拶を以下の通り発表した。

●三井倉庫グループ 古賀グループCEOの2023年年頭挨拶
皆様、明けましておめでとうございます。新年を迎えるにあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

【業績の推移】
まず当社グループの直近の業績についてですが、当中間期におきましては、営業利益は136億7,300万円、経常利益は144億4,600万円、そして純利益は91億6,900万円となり、大幅に伸びた前年同期の実績をさらに上回る結果となりました。

好業績の要因は様々ですが、世界的なサプライチェーンの混乱が続く中、急速に変化するニーズを的確に捉え、BCP対応、環境負荷低減のための物流、そしてグループ一体となった統合ソリューションサービスの提案等に積極的に取り組んだ結果、新たなお客様の獲得や、既存業務の拡大につながったことが挙げられます。

これらの成果は、これまで私達が一丸となって築いてきた、「厳しい事業環境下でも底堅く収益を確保できる体制」のもと、確実に実力値が切り上がっていることを示しています。私達のこれまでの取組みが新たな成長の礎になっていることを改めて実感しているところです。

私達の足下の事業環境は常に変化し、これからも新たな局面に向き合い続けることになります。前期から続くこの好業績に慢心することなく、これまで以上にコストコントロールや業務品質の維持向上に対する意識を高く持ちながら、引き続き気を引き締めて業務にあたっていただきたいと思います。

【これまでの振り返り】
さて、新たな中期経営計画がスタートして既に半年以上が経ちました。この中計は、前中計の取組みを「深化」させ当社グループ独自のビジネスモデルを以って「攻勢」に出る成長フェーズと位置付けていますが、皆様のおかげでまずは順調なスタートを切ることが出来たと感じています。現状について3つの成長戦略の柱と関連付けて少し説明します。

まず、成長戦略の1つである、「グループ総合力結集によるトップライン成長」についてですが、多くのお客様が安定的なサプライチェーンの重要性を意識され、高い関心を持っている現在、まさにお客様のサプライチェーンを最適化する当社グループ独自のビジネスモデルを確立・提供するものとして既に着実な成果を挙げつつあることは業績からも明らかです。

これに加えて優れたソリューションをお客様に提供するための現場力の強化、つまり「オペレーションの競争力強化」は、私達の成長を支える重要な柱であり、今後もお客様から選ばれ続けるために大切にしなくてはならない要素です。

前中計期間から進めてきた「標準化」を土台とし、「テクノロジー」と「人の力」の融合を進め、効率的で最適なオペレーションによる業務品質の向上、そしてローコスト化を通じて競争力を高めたいと考えています。

この2つの柱を支えるのが、3本目の柱の、「深化を支える経営基盤の構築」です。この柱はDX・共創・事業アセット・ESGの4つの側面からなっていますが、特に外部との共創では、パートナーと共にお互いの強みを発揮し、お客様に対して優れたソリューションを提供することを目的にすでに戦略的パートナーシップの構築をいくつかの案件で実現しています。

これらの取組みをこれからの成長のドライバーとするとともに、加えてDXやESGの分野でも共創による価値の最大化の実現を目指します。

【新たなグループ理念】
次に中計の策定と併せ、新たに制定された「グループ理念」について改めて説明したいと思います。

まずは存在意義である PURPOSE(パーパス)です。「社会を止めない。進化をつなぐ。」この言葉には、これまで私たちが物流サービスを通じて社会に提供してきた価値に対する自負、そして今後も進化を支え続けていくという決意が込められています。社会における私たちの「存在意義」であり、社会への「提供価値」であるこの言葉を胸に、これからも物流の未来を見据えて活動していきます。

次に中長期的に目指す姿であるVISION(ビジョン)です。「いつもも、いざも、これからも。共創する物流ソリューションパートナー」この言葉は、いかなる時もお客様や社会の進化をつなぐ存在として、いろいろなパートナーと共創しながらお客様の企業価値の向上を実現する物流ソリューションパートナーを目指す、というグループの姿を表しています。この姿を実現するために中計2022で掲げた施策を推進していきます。

そして、VALUE(バリュー)が、「PRIDE」(プライド)「CHALLENGE」(チャレンジ)「GEMBA」(ゲンバ)「RESPECT」(リスペクト)の4つです。この4つは、VISIONを実現するための私たちの価値観・行動指針を示しています。社会基盤としての物流を支える存在としての「PRIDE」、お客様や社会の発展に資する新たな提案や「CHALLENGE」、そして私たちの価値の源である「GEMBA」を起点とし、多様な個性を「RESPECT」しあう社風を通じて、心豊かな社会の実現に役立つ存在になることをそれぞれ表しています。

これら4つのバリューを意識し、重要な社会インフラとしての「物流」を支える責任と誇りをこれからも持ち続けていただきたいと思います。

以上グループ理念について改めて簡単に説明しましたが、なぜ、このタイミングでグループ理念を刷新したのでしょうか?

それは、変化の激しいこの時代において、「物流企業の役割は何か?」そして「三井倉庫グループにしかできないことは何か?」について改めて考え、確固たる価値観をグループ全体で築きあげることこそが今後の私たちの成長に不可欠であると考えたからです。

今、ご説明した理念が単なる言葉として存在するだけでは意味がありません。大事なのは理念への共感が皆様の間で進み、グループとしての戦略と従業員が向いている方向、ベクトルが合っていることです。

是非皆様の組織でもグループ理念について積極的に話し合ってみてください。そしてこれからの三井倉庫グループの進むべき方向、追い求めるべき価値についての議論を交わしてみてください。

【私たちのこれから】
これからの数年間は三井倉庫グループの今後30年あるいは50年の成長にとって非常に大事な礎になることは間違いありません。そういう意味でも私は「中期経営計画2022」を非常に強い決意を以ってやり遂げようと考えています。

とは言え特別なことを皆様に求めているわけではありません。1人ひとりがそれぞれの持ち場で、これまで通り真面目に、そして変化を恐れず成すべきことを整理し行動することをお願いしたいと思います。

取り巻く環境の変化は想像もつかないほどの速さと規模であらゆる社会活動に影響を与えています。そして、物流業界においては競争がますます激化しているところです。そのような状況ではありますが、これまでの皆様の取り組みとその成果を以ってこの競争に勝ち残っていきたいと考えております。

「社会を止めない。進化をつなぐ。」この私たちのPURPOSE(パーパス)に込められている意味を考え大切にし、これからも物流サービスの提供を通じたより良い社会と自らの成長の実現を目指し、この新たな年、新たな時代を、共に進んでまいりましょう。