(公社)日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は12月23日、2022年度物流コスト調査結果(有効回答195社)を速報値ベースで公表した。

それによると、売上高物流コスト比率は5.31%(全業種平均)となった。前年度からの減少幅は0.39ポイント。

近年、物流事業者からの値上げ要請などを理由に売上高物流コスト比率は、長期的な上昇傾向にある。前回の2021年度調査では、過去20年間の調査と比較しても最も高い、5.70%を記録した。

一方、今回の調査では、その上昇トレンドに対する揺り戻しとも見える結果となった。しかし、分析(速報版p.4)から、物流量に対する物流コスト単価としては、一貫して上昇傾向にある。今回の売上高物流コスト比率の減少は、コロナ禍当初の特異なビジネス環境における状況と比較して企業の売上高が回復し、その回復の勢いが物流コスト単価の増加を上回ったことに起因すると推測される。

なお、同一サンプルによる前年度比較が可能な「2年連続回答企業」(150社)による売上高物流コスト比率(全業種平均)は、5.69%(全業種平均。速報値)で前年度と比較して0.10ポイント下降している。

値上げ要請の有無については、回答企業(164社)のうち76.2%が要請を受けたと回答した。値上げ要請を受けた企業の割合は2021年度調査と比較して9.3ポイント上昇した。値上げ要請があったとの回答した企業(125社)のうち、119社(95.2%)の企業が「応じた」と回答した。前回調査では、物流コストの値上げ要請に向けた動きがやや落ち着いた印象であったが、2022年度調査結果からは、輸送費を中心に値上げ要請に向けた動きが再度活発になっている様子が伺えるとの見方を示した。

今後調査内容を精査し、確定値を2022年4月に公表する予定としている。

●速報版:2022年度物流コスト調査報告書
https://www1.logistics.or.jp/Portals/0/resources/Cost/cost_report_20221223.pdf