大和ハウスグループの㈱フレームワークスと㈱アンシェル、㈱FAプロダクツ、㈱オフィスエフエイ・コム、キリンビバレッジ㈱、㈱日立物流、BIPROGY㈱、㈱Mujinの8社は10月24日、経済産業省公募事業の令和4年度「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(物流施設におけるサプライチェーン横断的な自動化機器の効果的導入・活用事例の創出)」において、物流施設における自動化機器の制御・管理システムに係る標準化や、商慣行に係る業務対象物の標準化のモデルケース創出に共同で取り組む実証実験の提案が採択された。
経済産業省と国土交通省では、2040年を目標とした物流のあるべき将来像として、「フィジカルインターネット・ロードマップ」を2022年3月に策定し、業界横断的に行うべき取り組みの1つとして「物流拠点(自動化・機械化)」を掲げている。そのような中、物流施設におけるサプライチェーン横断的な自動化機器の効果的導入・活用事例の創出に取り組む実証事業の公募が行われ、8社(※1)による共同事業の提案が採択された。
※1:フレームワークスが採択先となり、他7社はその委託・請負先となる。
●8社による実証実験のポイント
(1)物流施設における様々な自動化機器を統一的な方法で制御・管理するための標準化[システムI/F(※2)標準化の実証]
(2)商慣行によって形状が異なる段ボールケースを自動化機器が扱いやすくするための標準化[包装標準化の実証]
(3)異種の複数事業者(※3)で標準化検討活動を推進
※2:インターフェース:システムを構成する異なるハードウェアやソフトウェア間の通信を行う際の情報の渡し方等を決めたもの。
※3:自動化機器に関するシステムインテグレーターやメーカー、およびサプライチェーンにおける発荷主・着荷主・物流事業者。
●実証実験による具体的な期待成果
(1)システムI/F標準化の実証
物流施設における様々な自動化機器を導入するにあたり、既設の上位システムやその他機器と連携させるためのソフトウェア等のカスタマイズが必要となる。システムI/F標準化によって期待される効果の1つに、ソフトウェア等のカスタマイズにかかる期間の短縮や人件費の抑制、さらには自動化機器稼働までの期間短縮やコスト低減が挙げられる。
今回の実証実験では、多くの物流施設で普及しつつあるアーム型ロボットを用いたデパレタイズとカゴ車積み付けを対象に、ロボットの社会実装を加速するための標準的なシステムI/F仕様の設計を目指す。
(2)包装標準化の実証
流通・物流領域における自動化設備、特にアーム型ロボットの導入によって期待される効果の1つに“より多くの対象物の把持による人手作業負荷の軽減”が挙げられる。当該市場における物量調査および従事者ヒアリングの結果から、物量が多くかつ重量があり、荷役負荷の高い清涼飲料を対象とする。特にロボット把持が比較的難しいとされる特定の大型飲料包装ケースで実証実験することで、ロボット導入を広く実現するための標準的な包装仕様の設計を目指す。
これらの実証実験を通じて、経済産業省がロボット政策として推進している、ロボットを導入しやすい環境[ロボットフレンドリー(ロボフレ)環境※4]の実現に貢献するほか、サプライチェーン・物流の効率化による生産性の向上と流通・物流業の持続可能な成長に向けて取り組んでいくとしている。
※4:経済産業省リリース「ロボットフレンドリーな環境の実現に向けた取り組みが加速しています」
https://www.meti.go.jp/press/2022/10/20221005001/20221005001.html