経済産業省は7月1日、「車載用半導体サプライチェーン検討WG」において車載用半導体以外の部素材も含む自動車サプライチェーンの強靭化に向けた中間報告を公表した。
●車載用半導体サプライチェーン検討WG概要
2020年12月以降に発生した世界的な半導体不足によって自動車サプライチェーンへの影響が懸念されたことから、2021年5月に車載用半導体の安定的調達に向けた対応策の検討のため、「新型コロナウイルス対策検討自動車協議会※」の下に、国内自動車メーカーおよび経済産業省(自動車課・情報産業課)が共同で、「車載用半導体サプライチェーン検討WG」を立ち上げた。
同WGでは、車載用半導体の安定調達に向けた対応策に加えて、2021年後半以降は車載用半導体にとどまらないサプライチェーンリスクが顕在化したことから、その他の部素材も含めた自動車サプライチェーンの強靭化に向けた取組について議論を進めていた。
●WG参加者
・国内自動車メーカー:いすゞ自動車、カワサキモータース、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、日野自動車、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業、三菱ふそうトラック・バス、ヤマハ発動機、UDトラックス(オブザーバー:日本自動車工業会)
・経済産業省:製造産業局自動車課、商務情報政策局情報産業課
※2020年2月、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自動車サプライチェーンへの影響拡大の可能性に備え、対応に万全を期す観点から、自動車メーカー、部品メーカー、政府が連携し、業界大の迅速な情報共有や必要となる対応策を検討する場として立ち上げられた。
●中間報告「自動車サプライチェーンの強靭化に向けた取組」概要
(1)車載用半導体の安定調達に向けた取組
〇生産計画の提示方法の改善
半導体メーカーの予見性向上を図るため、自動車メーカーからサプライヤーに提示する生産計画の改善を実施(期間の長期化、情報粒度・提示頻度の向上等)。
〇半導体の製品・工程変更手続の標準化
調達先の複線化や切り替えを効率化するため、半導体の素材変更等の際に必要となる製品・工程変更手続において、自動車メーカーごとの品質評価プロセスを標準化し、評価期間を短縮。
(2)自動車サプライチェーンの強靭化に向けた方向性
自動車メーカーが平時からサプライチェーンリスクを分析し、コストとリスクのバランスを考慮しつつ、柔軟かつ強固なサプライチェーンの構築を目指す。この際、個社で解決できない課題については業界横断での取組や政府のサポートを得つつ、進めていく。
〇サプライチェーンリスク評価
・社内外のデータベース・分析ツールの活用を進めることで、サプライチェ-ンの構造把握を効率的に実施。
・一部のサプライヤーは自社の競争情報である等の理由で取引先情報を開示していないという現状を踏まえ、情報開示に理解を得られるよう平時から関係を強化。
・カーボンフットプリントの計算等の社会的要請を背景とした自動車産業の横断的なデータ連携基盤の構築も見据え、情報流通のあり方について検討。
〇サプライチェーンリスク対応
・リスクの高い部素材については、代替調達先の事前評価やコスト面も考慮しつつ在庫の積み増しを検討。
・車両電子プラットフォームの高度化や、旧世代の半導体の生産撤退リスク等を考慮し、中長期的な半導体戦略を構築。
・部素材産業のカーボンニュートラル実現に向けた支援によって国内生産基盤を維持。その上で撤退が避けられない場合には、特定国への依存を回避する形で調達先の複線化について検討。
●自動車サプライチェーンの強靱化に向けた取組
https://www.meti.go.jp/press/2022/07/20220701006/20220701006-a.pdf