(一社)日本物流団体連合会は6月22日、今年度第1回となる「海外物流戦略ワーキングチーム会合」を千代田区の全日通霞が関ビルで開催した。

これは海外における物流事業者の事業活動に関する課題について官民連携して検討する会合で、国土交通省や会員企業等47名が参加(うち27名がWeb参加)した。

令和4年度の同ワーキングチームでは、日本を上回る世界第8位の人口(約1.7億人)を抱え、生産地だけでなく、消費地としても注目されるほか、アパレルを中心として営業・製造の拠点が伸長しているバングラデシュにスポットを当て、物流実態等についての調査を実施し、会員企業の同国進出に際し有益となる情報を提供、共有してゆく方針。

第1回会合では、バングラデシュの基本情報を得る機会として、(一社)日本バングラデシュ協会の神山秀夫理事を講師として招聘し、「バングラデシュ、その概要と経済概況、日バ二国間関係と物流関連情報」と題し講演が実施された。

講演では、同国の概要、雇用状況、経済状況、日本からのODA、地政学的リスク等、同氏の経験に基づく多岐にわたる情報が、同氏自ら撮影された写真等とともに提供された。

また、経済成長が著しい一方、天候に影響を受けやすい国土であること、中国企業の進出が顕著であること、LDC指定解除後の国情不安、インフラの中でも特に鉄道インフラ整備の遅れ、産業が根付きにくい等、今後の課題についても披露された。

メンバーからは、アパレルに代わる高付加価値品の生産拠点としての可能性や、首都ダッカとチョットグラム(旧チッタゴン)港を結ぶ最主要幹線道路の拡充、その他道路や交通のインフラの発展性について等幅広く質問がなされ、活発な意見交換が行われた。

続いて、国土交通省総合政策局参事官(国際物流)室の村井香菜物流渉外官から「最近の国土交通省の国際物流政策の取組」と題し、ASEANコールドチェーンへの取り組み、日中韓物流大臣会合、国際海上コンテナ輸送の需要逼迫等について説明された。

最後に事務局より、今年度の活動方針と具体的な調査内容が提案され、会員企業に対し、調査に対する意見や情報提供を呼び掛けた。

講演された日本バングラデシュ協会の神山秀夫氏
最近の取り組みを発表する村井香菜氏
会合が開催された全日通霞が関ビルの会場