富士通㈱は6月15日、欧州における量子やAI、デジタルツイン等の最先端技術の実用化を推進する同社のグローバル技術戦略中核拠点として、英国に「Fujitsu Center for Cognitive and Advanced Technologies」の設立を決定した。

今後、「Fujitsu Center for Cognitive and Advanced Technologies」設立に向けて2,200万ポンド(約35億円、※1)を投資し、1年間で200人以上の高度なスキルを備えた人材の雇用を目指す。

「Fujitsu Center for Cognitive and Advanced Technologies」は同社のグローバル技術戦略における重要な拠点として、日本の最先端技術を導入し、分野を超えたイノベーションの実現に向けて研究の商用化やパートナーとの連携に注力していく。

●「Fujitsu Center for Cognitive and Advanced Technologies」
量子や、スーパーコンピュータ「富岳」(※2)の開発・製造で培ったハイパフォーマンスコンピューティング、AI、デジタルツイン等、同社の様々な最先端技術を組み合わせてイノベーション創出を加速させる。中でも、量子インスパイアード技術(※3)の「デジタルアニーラ」(※4)は、すでに英国宇宙局等の英国政府機関のパートナー企業とスペースデブリ(宇宙ごみ)除去に向けた最適な航路計算の共同実証で有効性を確認しており、今後も活用分野のさらなる拡大に向けて強力に推進していく。

なお、英国での最先端技術によるイノベーション創出活動は、「C-CAT」設立に先立ち、同社の英国拠点であるFujitsu Services Limitedのマンチェスター市のオフィスを拠点にして開始しているほか、同社の「説明可能なAI」の開発において連携しているマンチェスター大学とのパートナーシップを活用し、産業界や学術界、さらには英国政府とも連携し、今後の「C-CAT」の活動における技術革新を通じて大きな社会的課題の解決を目指す。

※1:1ポンド=160円で計算。
※2:スーパーコンピュータ「京」の後継機として理化学研究所に設置された計算機。2020年6月から2021年11月にかけて世界のスーパーコンピュータに関するランキングの主要4部門で4期連続で1位を獲得する等、世界トップクラスの性能を持つ。2021年3月9日から共用開始。
※3:量子効果そのものは利用していないが、量子技術に着想を得た複数の高速化技術。
※4:計算量が膨大なため一般的なコンピュータでは解くことが難しい組合せ最適化問題を解くことに特化した、同社独自のドメイン指向型計算機アーキテクチャ。