セイノーホールディングス㈱(セイノーHD)とラクスル㈱は6月10日、共同でジョイントベンチャー「ハコベル㈱」を設立すると発表した。

両社は、これまで物流業界で積み上げられてきたセイノーHDのブランド・商業物流の実績・顧客基盤と、ハコベルがマッチング事業/システム(SaaS)事業を通して培ってきたブランド・プロダクト・オペレーションの力を掛け合わせ、業界・企業間の垣根を超えた「共創・共生」を目指すオープンパブリックプラットフォームの実現を目指す、としている。

近年、あらゆるサービスのオンライン化・EC化が加速し輸配送ニーズが増え続ける一方で、労働環境や低賃金によるトラックドライバーの不足等を背景に「2024年問題(働き方改革関連法により、2024年4月1日からトラックドライバーに対して時間外労働の上限規制が適用されることによって生じる諸問題)」と呼ばれる“物流危機”が懸念されている。

同時に、カーボンニュートラルへの強い要請や上がり続ける物流コストによって、荷主企業における課題感と負荷はますます高まっており、業界全体で“物流改革”を推進していくことが求められている。

ラクスル㈱は、そうした社会課題を解決するため、物流プラットフォーム「ハコベル」を立ち上げ、輸配送のトータルソリューションを目的とし、ラストマイルから都市間の幹線輸送までを支えるマッチング事業と荷主企業に対して配送計画最適化・管理業務を行うためのソフトウエアを提供するSaaS事業を展開。一方、セイノーHDは“価値創造型総合物流商社”を標榜し、全国に展開する輸送網を基盤に顧客荷主数12万件超、発着合わせた取引先数80万件超等の強い実績を積み上げてきた。

●ハコベルの目指す「オープンパブリックプラットフォーム(O.P.P.)」
現状の物流業界では、荷主企業・サービス提供者ともに自社とその顧客に最適化したシステムやオペレーションを構築してきたことから、「個別最適」に陥っている状況がある結果、企業間やバリューチェーン内で分断が起き、個社間での競争激化、サプライヤーの囲い込み、それによる価格競争が起きており、リソースの有効活用ができていないことが課題と考えている。ハコベルが創る「オープンパブリックプラットフォーム」は、バリューチェーンを広く捉え、顧客/サービス事業者・ハードウェア/ソフトウェア・既存産業/スタートアップ等、あらゆるステークホルダーの相互乗り入れ・巻き込みを前提とし、業界全体で物流を取り巻く課題に対処することを目指す、としている。

新会社ハコベルは今回の「オープンパブリックプラットフォーム」に多くのステークホルダーが参加・乗り入れることによって、下記の3点の状態を目指す。

(1)多くのステークホルダーへのオープン化・相互乗り入れ
これまで個別最適で構築してきたサービスの相互乗り入れ強化、それによるデータ互換性の実現を目指す。さらには、既存事業者だけではなく新規参入者にも常に門戸が開けられている状態を実現する。

(2)顧客利便性の向上
サービスやデータの互換性により顧客利便性向上をはかり、それによって顧客の既存アセット・オペレーションと、データやテクノロジーの融合を図る。

(3)効率化とグリーン物流の推進
蓄積されたデータを活用することによる遊休資産の利活用を図る。その結果としての環境対応・グリーン物流につなげる。

さらに、上記サイクルから創出されたサービスがオープンパブリックプラットフォームへ乗り入れるサイクルを回し続けることで、業界・社会の課題を解決する仕組み作りを行う。これらの実現のためには、スピード感をもち、フラットな立場で社会・業界全体に働きかけていくことが必須と考え、今後は新会社として事業を運営する。

●新会社概要
社名:ハコベル㈱
設立:2022年8月1日(予定)
株主構成:セイノーホールディングス㈱50.1%、ラクスル㈱49.9%(8月8日予定)
代表取締役CEO:狭間健志
所在地:東京都品川区上大崎二丁目24番9号
事業内容:物流のプラットフォーム「ハコベル」の運営
URL:https://www.hacobell.com/