(一社)日本物流団体連合会(物流連)は3月21日、令和6年度第2回国際業務委員会(委員長:日本郵船㈱常務執行役員 伴野拓司氏)を全日通霞が関ビル(東京都千代田区)で開催した。
同委員会は、物流事業の海外進出に関する課題について官民連携して検討する会合で、会員企業や国土交通省から30名が参加した(うち11名がWEB参加)。

委員会は二部構成で開催され、第1部は㈱国際協力銀行(JBIC) インフラ・環境ファイナンス部門 社会インフラ部 第3ユニット ユニット長の高橋勝茂氏が、「JBIC as a Navigator ~日本企業の海外進出支援について~」と題して講演した。講演会にはWEB聴講者を含め36名が参加した。

講演では、①JBICの概要、②インドの概要、③JBICのインド向け取り組み内容、④物流セクターにおける支援実績の4点を説明した。
海外には、各国の情報収集や現地政府とのコミュニケーション(RMリレーションマネジメント)等を主な目的として18の海外駐在員事務所を置いている点、「日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進」、「日本産業の国際競争力の維持及び向上」、「地球環境の保全に資するプロジェクトの促進」、及び、「国際金融秩序の混乱の防止またはその被害への対処」という4つの業務を民間金融機関を補完しつつ行っていること等について説明したほか、第5期中期経営計画では、JBICを世界の課題解決を「先導」するNavigatorと位置づけている旨の紹介の後、日本企業の海外での国際競争力の維持及び向上等に向けた、実際の融資案件について説明があった。インド事業や物流セクターにおける取り組み実績についても詳細な説明があり、講演会は終了した。
第2部の委員会では、冒頭、伴野委員長より国際物流事業者としては戦時下にあり、また、トランプ米国大統領の対外政策等を交え、先行きの不透明感に触れながらの挨拶があった。

続いて、国土交通省 物流・自動車局 物流政策課 国際物流室の牧野武人室長から「最近の国土交通省における国際物流政策の取組みについて」と題し、令和6年度パイロット事業の経過報告として、マレーシア・クアラルンプールにおける、冷蔵ケーキのラストワンマイル実証輸送等について経過発表があった。小型冷凍機を搭載した電動バイクの場合と、地場配送事業者による保冷箱を使った場合の温度の比較と振動等による貨物のダメージの違いを説明し、今後の課題についても言及した。

次に、ISO31512勉強会開催について荷主企業向けおよび物流事業者向けにそれぞれ1回実施されたこと、規格説明会も別に開催されて228社485名が参加したことが報告された。
荷主企業向け勉強会のアンケート結果では、規格取得の有効性については、現段階では判断が難しい旨の回答が多く見られたが、物流事業者向け勉強会のアンケート結果では、取得を前向きに進めたいとの回答が多くあった旨の説明があった。
最後に、事務局から令和6年度の活動報告と令和7年度の活動計画案について審議が行われ、今年に引き続き「物流企業の国際展開に資するための施策を実行する」をスローガンに掲げ、インド物流事情実態調査の実施、物流分野における国際標準化に関する取り組み等、原案通り承認された。