(一社)日本物流団体連合会(物流連)は9月19日、令和6年度第2回「海外物流戦略ワーキングチーム会合」を千代田区の全日通霞が関ビルで開催した。
同会合は、物流事業の海外展開に関する課題を官民連携で検討するもので、会員企業や国土交通省から42名が参加した(うち15名がWeb参加)。
ワーキングチームでは、物流業界のグローバルサプライチェーンにおいて大変注目されており、昨今経済成長が著しい「インド」の物流事情について令和6年度から7年度にかけて2年に跨り調査を行うこととしている。
第1部の講演会では、拓殖大学国際学部教授の椎野幸平氏が「モディ政権の物流に与える対外経済とその背景」と題して講演した。講演会にはワーキングチームメンバー以外も多数聴講し、Web参加を含めて合計108名が参加した。
講演では、はじめに今年3期目に入ったモディ政権がこれまで行ってきた対外経済政策について、2018年以降の一般関税引き上げがFTAの利用価値を高め、FTA締約国からの輸入を増やしていることを説明した。続いて、モディ政権の製造業育成策、特に生産連動インセンティブ(PLI)や半導体の誘致政策について解説した。また、2024年に実施された下院総選挙では、食料品価格の高騰と雇用の伸び悩みが、与党の議席減少を引き起こしたと考えられるほか、総選挙結果が今度の経済政策に与える影響について説明し、講演は終了した。
第2部のワーキングチーム会合では、国土交通省物流・自動車局 国際物流室 室長の牧野氏から「最近の国土交通省の国際物流政策の取り組みについて」説明があった。
具体的には、国際物流の多元化強靱化について実証調査を継続しており、世界情勢の変化に伴うBCPルートの課題やリスク、日中韓物流のシームレス化や、リターナブル物流の普及促進、TIR条約(トラックの相互通行)の可能性について報告した。また、国土交通省が主体となって開発に取り組んでいた国際規格ISO31512が、今年末にも発行の目途がたち、これに伴い物流事業関係者への勉強会の開催、企画に対する認知度、規格取得の意思について調査するため、会員アンケート調査の依頼を受けた。
続いて、事務局から、今後実施するインド物流実態調査における調査項目と、今回の現地調査ではエリアを絞って調査を行うことを提案し、10月中に調査項目の追加や関心度、現地調査エリアの希望などアンケート調査を行うこととし、併せて現地調査の同行希望も募る予定と説明した。