(一社)日本物流団体連合会(物流連)は3月8日、令和5年度第2回国際業務委員会(委員長:日本郵船㈱常務執行役員 伴野拓司氏)を千代田区の全日通霞が関ビルで開催した。

委員会の様子

同委員会は、物流事業の海外進出に関する課題について官民連携して検討する会合で、会員企業や国土交通省から36名(うち13名がWeb参加)が参加した。

委員会の第1部は拓殖大学商学部教授の松田琢磨氏から「国際物流の現状・見通しとサプライチェーンの最適化」と題し講演が行われた。講演会には一般WEB聴講者を含め72名が参加した。

講演した拓殖大学商学部 教授の松田琢磨氏

講演では、最初に2024年のコンテナ輸送を中心とした国際貨物の状況を、地域間の数値を用いて詳しく説明された。市況見通しは、在庫推移や世界情勢を反映し、北米および欧州航路は堅調である一方、アジア域内航路は中国経済の影響により、前年比で減少していると解説した。続いて、サプライチェーン(SC)の最適化について説明した。グローバルSCの見直しに関して地政学的な立ち位置に基づいた供給網の再編に紐づけて詳しく解説した。最後にSCの強靭性を確保する上で、新技術活用による効率改善が重要であり、荷主を含む関係者間での情報共有と組織変化が必要だと結論を述べ、講演会を終了した。

第2部の国際業務委員会は、冒頭、伴野委員長より挨拶があり、その中で国際物流の状況を、中国の経済成長見通しや米国大統領選の行方に触れながら、「米中の関係を含め、不透明な為替動向は国際物流における舵取りが非常に厳しい状況」と挨拶した。

伴野拓司委員長による議事進行

続いて、国土交通省物流・自動車局国際物流室室長の鈴木淳氏は、「最近の国土交通省の国際物流政策の取組」について説明した。具体的には、2023年4月から7月にかけて実施した「国際物流の多元化・強靭化に向けた実証輸送」、2月末に開催された「日中韓物流大臣会合」に関する説明に続き、「物流の2024年問題」に関する政府広報CM放送に関して報告した。

最近の取り組みを発表する国土交通省の鈴木淳氏

最後に事務局から、令和5年度活動実績について報告を行い、令和6年度活動計画案について説明し、審議の結果承認され、委員会を終了した。