(一社)日本物流団体連合会(物流連)は3月1日、令和5年度第4回「海外物流戦略ワーキングチーム会合」を千代田区の全日通霞が関ビルで開催した。

会合が開催された全日通霞が関ビル

同会合は、物流事業の海外展開に関する課題を官民連携で検討するもので、会員企業や国土交通省から39名が参加した(うち11名がWeb参加)。

令和5年度のワーキングチームでは、物流業界のグローバル化を進める上で重要な「ベトナムの物流事情」について調査を行っている。

第1部の講演会では、専修大学商学部教授の池部亮氏が講師として招かれ、「米中対立下のアジアのサプライチェーンとベトナム」と題し、講演した。講演会にはワーキングチームメンバー以外も多数聴講し、Web参加を含めて合計73名が参加した。

講演した専修大学の池部亮氏

講演は、はじめに米国の地域別輸入シェアの推移について、中国からの輸入が減少していること、およびASEANにおけるベトナムのシェアが増加していることを、品目別特性やデータの数値を用いて詳しく説明した。

続いて、米中間における輸出入構造の変化について触れ、中国の人件費高騰に伴う生産移管先としてベトナムが好まれる理由を説明し、今後継続して同国の産業構造および輸出構造の高度化が進むことを解説した。

最後に、ベトナムと中国やロシア等との国家関係や同国の立ち位置を説明し、日本企業はベトナムへの生産集中の継続は新たなリスクが生まれることに警戒し、注意が必要と締めくくり、講演は終了した。

第2部のワーキングチーム会合では、国土交通省物流・自動車局国際物流室 課長補佐の古田真敏氏から最近の国土交通省の国際物流政策の取り組みについて説明があった。

最近の取り組みを発表する国土交通省の古田真敏氏

具体的には、今年度の物流政策勉強会及びコールドチェーンワークショップの開催報告とフィリピンにおける実証輸送の結果報告等、取り組みの状況を報告した。

続いて、事務局からベトナム物流事情実態調査報告書の内容について説明し、来年度の調査対象国をインドとすること等の方針案を提案した。これに対してメンバーから調査に対する具体的要望の発言があり、事務局がそれらに対処する旨を確認した上で方針案は承認された。

最後に事務連絡を行い、今年度最後の会合は終了した。