欧州最大の宅配ネットワークを有するフランスDPDグループと、ヤマトホールディングス㈱は7月12日、温室効果ガス排出量の世界共通算定基準の検討など、環境分野での協力に向けた基本合意書を締結した。

気候変動への対応は国際社会全体の喫緊の課題であり、各国・個社単位ではなく、パートナーを含めたサプライチェーン全体での対応が求められている。温室効果ガス排出量の算定と報告については、物流各社が様々な基準を採用して温室効果ガスを算定しており、共通の算定基準を策定する必要性が求められる可能性がある。

さらにメーカーや小売等の企業にとっては、Scope3(※)において物流領域の温室効果ガスの排出量を算定する必要があるが、パートナーである物流企業によって算定基準が異なることが課題となっていた。

DPDグループとヤマトグループは、2017年に仏クロノポスト社と輸送における業務提携を行い、2021年には国際的な食品・食材の小口保冷輸送の仕組み「Fresh Pass」を発足する等、様々な取り組みを進めてきた。

今回、環境分野での協力に向けた基本合意書を締結し、物流における温室効果ガス排出量の世界共通の算定基準の検討と、環境分野のノウハウの共有を進める、としている。各社の輸配送に関わる間接的な温室効果ガス排出量の算定基準を共通化することで、共通の算定基準で報告が可能となり、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量の可視化につながるものと期待されるほか、両社が持つ環境分野におけるノウハウを共有することによりサプライチェーンの環境改善に活かしていく、としている。

※企業が間接的に排出するサプライチェーンでの温室効果ガス排出量

●概要
(1)持続可能な物流の実現に向け、温室効果ガス排出量の世界共通の算定基準の検討 
(2)環境分野におけるノウハウ共有
  以下4つの分野でノウハウ共有し、環境への取り組みを推進する。
  ①気候変動の緩和
  ②大気汚染の防止
  ③資源循環の推進
  ④社会と企業のレジリエンス向上

●DPDグループについて
DPDグループは持続可能な宅配の基準や、Eコマースを支える世界最先端の宅配ネットワークを展開しており、革新的技術と地域理解を組み合わせることで柔軟で利用者に易しいサービスを提供している。また、約50か国で12万人の配達員と7万か所の集配拠点により、DPD、Chronopost、SEUR、BRT、Jadlogのブランドを通じて世界中で毎日840万個(年間21億個)の荷物を配達している。DPDグループはGeoPostの宅配ネットワークを担っており、GeoPostはフランス郵政グループが所有する持株会社で、2021年に147億ユーロの売上を記録した。また、パリ協定の10年前にあたる2040年までに温室効果ガス排出量ネットゼロを達成するという目標に加え、2030年に向けたSBT(Science Based Targets)を提出した(2022年7月11日発表)。2020年のベースラインから2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を43%、2040年までに90%削減することをコミットしている。