米Infor(インフォア)は5月12日、ドイツ自動車部品サプライヤのDBK David + Baader GmbH(DBK)のサイバー攻撃被害に伴うクラウド移行を支援したと発表した。昨年、DBKはサイバー攻撃によって既存のオンプレミスシステムが突如停止したが、攻撃からわずか3週間後には、インフォアの自動車業界向けクラウドERP「Infor CloudSuite Automotive」で稼働を再開している。
インフォアは、幅広い分野の専門家からなるチームで被害対策を支援し、DBKが可能な限り早く生産能力を回復できるよう同社と緊密な連携をとった、としている。
1946年にドイツのプファルツ州カンデルで設立されたDBKは、主に自動車産業向けに電気暖房、空調、電子機器の各分野でソリューションを提供する大手メーカーとしての地位を確立してきた。リュルツハイムにある本社に加えて、DBKグループ全体では、他のヨーロッパ諸国やアジアなど海外の地域にも複数の子会社を有している。現在、総売上高は1億5,000万ユーロを超え、従業員数は約750人。DBKはインフォアの長年の顧客で、2021年10月までインフォアのERPソリューション「Infor LN」をオンプレミスで使用していたが、サイバー犯罪者の攻撃によって突如技術インフラ全体が機能停止し、すべてのバックアップにまで被害が及んだ。保存していたデータを一瞬で失っただけでなく、突如紙により業務プロセスを遂行せざるを得ない状況に直面した。大規模な生産停止と納期遅延が発生する危機が迫り、経済的にも深刻な打撃を被る恐れがあった、としている。