(一社)日本物流団体連合会(物流連)は2月24日、今年度最後となる第5回「海外物流戦略ワーキングチーム会合」を千代田区の全日通霞が関ビルで開催した。
これは、物流事業の海外における事業活動に関する課題について官民連携して検討する会合で、国土交通省や会員企業から39名が参加した(うち23名がWebで参加)。
令和3年度はASEAN諸国の専門家を招聘し講演を開催するほか、コロナ禍で海外渡航が困難であるため、Webを活用し海外の専門機関や進出企業に対し懇談形式にて現地の物流実態等について調査を行った。
今回の講演は、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部アジア大洋州課の山城武伸氏を講師として招聘し、「2021年度海外進出日系企業実態調査」と題し調査結果が報告された。これは、アジア・オセアニアにおける日系企業活動の実態を把握し、その結果を広く提供することを目的とし、北東アジア5か国・地域、ASEAN9か国、南西アジア4か国、オセアニア2か国の計20か国・地域に進出する日系企業を対象にアンケート調査された結果の報告である。
講演では、新型コロナ禍からの経済活動の再開に伴い、現地市場や輸出による売上増加を通じ、需要は回復傾向であり、大半の国・地域で進出日系企業の景況感が改善され、黒字企業の割合は一部の国・地域で新型コロナ前(2019年)を超えていることが報告された。需要回復の一方、半導体などの原材料の不足、コンテナ不足による物流の乱れ等サプライチェーンの混乱により、調達コストの上昇や調達難など新たな課題が発生していること等、国別に比較しながら解説がなされた。
メンバーからは、インドにおける事業拡大の傾向、タイの人材不足、インドネシアの税制、アジアの今後のマーケット動向等幅広く質問がなされ、活発な意見交換が行われた。
続いて、国土交通省総合政策局参事官(国際物流)室の柏島輝佳氏から「最近の国土交通省の国際物流政策の取組」と題し、ASEAN コールドチェーンへの取り組み、日中韓物流大臣会合、シベリア鉄道の利用促進、国際海上コンテナ輸送の需要逼迫等について説明された。
最後に事務局より、今年度の活動報告及び来年度の活動計画(案)が提案され、3月18日に開催される国際業務委員会での審議事項とする旨、報告された。