Kinaxis Inc.の日本法人キナクシス・ジャパン(株)は2月21日、サプライチェーンの高度化に向けて各企業が検討するべき5つのポイントを発表した。

発表したのは、本社がサプライチェーン管理者向けの業界専門誌「サプライ&デマンド・チェーン・エグゼクティブ」と共同で、「サプライチェーンの未来を動かすトップトレンド:未来に備えてリーダーは今何をすべきか」と題したウェビナーを開催し、同社本社インダストリー・アウトリーチ&ソートリーダーシップ部門担当バイスプレジデントのポリー・ミッチェル=ガスリー氏がサプライチェーンの現状と2022年以降の方向性について講演し、実際のケーススタディや最新の研究結果をもとに、サプライチェーンの未来を牽引するトレンドとして言及した以下の5つの点となる。

(1)世界中のCEOにとって、サプライチェーンは最重要課題
今こそサプライチェーンがもたらす競争優位性をアピールする時。企業は優位性を獲得するため、投資を必要なだけ拡大する可能性があるが、取締役会レベルでの承認を得るためには、サプライチェーンが営業、マーケティング、業務、財務と連携し、その価値を広範囲に及ぼすことができるよう、仕組みを整備する必要がある。

(2)AIと人間が果たす役割が増加
AIによって作業を可能な限り自動化させることで、人間は本来考えるべきことに知能を割くことができる。これにより、サプライチェーン計画を立案するプランナー達は、予測や自動化では対処が困難な、最も緊急かつ複雑な問題に自らの専門的知識を活かすことが可能となる。

(3)ディスラプション(破壊的変化)の影響は多面的かつ連鎖的
サプライチェーンは異常気象、政情不安、世界的な健康危機、自然災害、各国の関連規制の変更等、多くのディスラプションと無縁ではない。今後もそうしたディスラプションはたびたび発生すると考えられる。デジタル技術を活用した複数の企業間の協業と、より緊密な連携がビジネスの成功の鍵になると予測している。

(4)アジリティ(俊敏性)は計画サイクルを短縮
需給計画の更新頻度は、業界や企業によって大きく異なるが、どのような周期であったとしてもほとんどが短縮傾向にある。例えば、世界有数の一般消費財メーカーであるユニリーバが、どのように計画サイクルを13週間から4週間に短縮できたのかを考えてみて欲しい。同社は、計画立案に関する社内定例を週次から日次開催に変更し、市場の変動に迅速に対応している。

(5)サステナビリティはビジネスの必須条件に
温室効果ガス(GHG)排出量の80%以上はサプライチェーンによるものとされている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が掲げる目標を達成する唯一の方法は、サプライヤーのネットワーク内のすべての接点において、サステナビリティを組み込むこと。ビジネスにおいて、サステナビリティを切り離して考えることはできなくなってきている。サプライチェーンの計画決定には、コスト、利益、GHG排出量のトレードオフが考慮されたシナリオを含める必要があり、完成した計画はネットワーク全体に影響を及ぼすようにする必要がある。